2004 Fiscal Year Annual Research Report
洗浄剤注入による土壌汚染のレメディエーション技術の効率と安全性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15510083
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
稲葉 一穂 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, 室長 (60176401)
|
Keywords | 土壌汚染 / レメディエーション / 洗浄剤注入法 / トリクロロエチレン / 界面活性剤 / 高分子量有機化合物 / 溶解度 / 移動性 |
Research Abstract |
平成15年度(初年度)にトリクロロエチレンの水への飽和溶解度に及ぼす影響の検討を行った4種の陰イオン性界面活性剤、8種の非イオン性界面活性剤、1種の陽イオン性界面活性剤、5種の高分子量有機化合物について、ガラスビーズを充填したカラムでのトリクロロエチレン(TCE)の重力による下方への移動性に与える影響を測定した。 洗浄剤を含まない純粋ではガラスビーズ間の空隙サイズが小さいためにTCEが原液のまま重力により下方へと移動することはできない。しかしこのカラムに洗浄剤を添加すると下方浸透挙動は添加した洗浄剤の種類と濃度によって大きく影響を受け、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸(LAS)、セチルトリメチルアンモニウムクロライド(CTMA)、Brij35が共存した系では測定した全ての濃度において浸透速度が非常に大きく、いずれの濃度でも20分以内に浸透が終了した。これら以外の洗浄剤では試薬の濃度に依らず24時間後もTCEの下方へ移動は見られなかった。この洗浄剤の種類による浸透性の差異は、TCE原液がガラスビーズ間の空隙を通り抜ける際に生じるTCE原液とビーズ表面およびTCEと洗浄剤水溶液が接する界面で発生する抵抗の大きさによって支配されると考えられた。このような観点から、今後は洗浄剤の充填剤表面への吸着性などを把握する必要があることが分かった。また、このような現象は洗浄剤注入法を実環境で応用する際に深層への汚染の拡大を招く可能性を示しており、これを防ぐ意味から単に水への溶解度を上昇させるだけでなく、このような下方浸透性に及ぼす影響も評価する必要があることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)