2006 Fiscal Year Annual Research Report
洗浄剤注入による土壌汚染のレメディエーション技術の効率と安全性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15510083
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
稲葉 一穂 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, 室長 (60176401)
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Keywords | 洗浄剤注入法 / レメディエーション / トリクロロエチレン / 界面活性剤 / 高分子量有機化合物 / 脱塩素還元分解反応 / 分解反応速度 / 表面吸着量 |
Research Abstract |
平成17年度に検討した鉄粉によるトリクロロエチレンの還元分解反応への洗浄剤の影響について、鉄粉濃度の反応速度に与える影響や、鉄粉表面へのトリクロロエチレンの吸着量などを、実験条件を変えながら検討した。 40mLのテフロンシールバイアルに鉄粉を0.4gまたは1.0gを入れ、トリクロロエチレンが100mg/Lになるように添加した後に気相が出来ないように洗浄剤溶液を注入し密栓し回転式攪拌幾で撹拝した。洗浄剤溶液は100mg/Lと1000mg/Lに設定した。一定時間後にバイアル内部の水溶液を採取し、ヘキサン抽出後FID検出器付きGCでトリクロロエチレンおよび分解生成物の1,2-ジクロロエチレンを定量した。純水中でのトリクロロエチレンの分解反応は、添加した鉄粉濃度およびトリクロロエチレン濃度に1次反応となり、その速度定数は7.1×10^<-4>LgFe^<-1>h^<-1>となった。この値と洗浄剤添加での分解速度定数とを比較して洗浄剤の効果を検討したところ、使用した洗浄剤はいずれも減速効果を示しており、特に非イオン性界面活性剤では分解速度は純水の20%程度まで低下した。これは非イオン性界面活性剤の臨界ミセル濃度が低いため、溶液中に多くのミセルが生成してトリクロロエチレンを可溶化して、鉄粉表面との反応性を低下させるためと考えられた。一方、時間-濃度曲線の切片から求められるトリクロロエチレンの鉄粉表面への吸着量を比較すると、非イオン性界面活性剤添加の系では吸着量が低下していることが明らかとなり、ミセル可溶化による反応性の減少が起きていることが裏付けられた。 このように、洗浄剤の種類によりトリクロロエチレンの分解反応速度は、添加する洗浄剤の種類により大きく異なることが明らかとなった。これは洗浄剤注入法を実使用する際には、下流域での透過壁などの効率を考慮して洗浄剤の種類を選択しなければいけないことを示している。
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