2003 Fiscal Year Annual Research Report
架橋性6座配位子によるナノサイズ環状六核マンガン錯体の合成と分子デバイス特性
Project/Area Number |
15510092
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鯉川 雅之 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (90221952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時井 直 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40039269)
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Keywords | 多座配位子 / 多核金属錯体 / 三核マンガン錯体 / ナノ錯体 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
本年度は対称型および非対称型配位子それぞれ4種類の新規電子供与性多座配位子(H_4L4-X, H_3L5-X ; X=H, CH_3,Br, Ph)合成法の確立と,これら配位子によるマンガン,銅錯体の合成を行いその構造と物性について検討した。 非対称型配位子H_3L5-Xとマンガンイオンとの反応から,特徴的な架橋構造を有する三角錐型三核マンガン(III)錯体が生成することをX線結晶構造解析により明らかにした。この三核錯体は内部に3Å程の空孔を有しており,小分子を取り込んで反応場として活用することが可能と思われる。アンモニウムイオンの包摂効果を調べたところ,空孔中へ1:1で取り込みが行われることを元素分析や赤外吸収スペクトルから確認した。今後,この包摂効果を反応に利用することを検討し,アンモニア硝化や他の小分子の酸化反応への応用を研究する。 対称型配位子H_4L4-Xと銅(II)イオンとの反応から,配位子:銅(II)=1:2の化合物が得られた。銅イオン間には強い反強磁性的相互作用が確認されたため,銅イオンはフェノキソ架橋された近接位置に存在していると思われる。この錯体は,非常に強い特徴的なCT吸収帯を500〜600nmに示した。これは配位子から銅へのCTが,共役系の伸張により長波長領域にシフトしたものと考えられる。これらの結果より,錯体は一次元鎖状のポリマー構造を形成していることが示唆された。本錯体を色素増感太陽電池の色素材料として応用したところ,太陽光照射時には約300mVの起電力が得られ,ルテニウム色素系に代わりうる新規色素材料としての活用が期待できる。次年度はこの色素特性や伝導性等のデバイス特性について検証する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Koikawa: "Dichlorobis[N-(2-oxymethylphenyl)salicylideneiminato]diiron(III)"Acta Crystallographica. E60. 239-241 (2004)
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[Publications] K.Koga: "Syntheses, magnetic properties, and reactivity of dinuclear oxovanadium(IV) and copper(II) complexes with (m-diphenylphosphinato)-bridges"Inorganica Chimica Acta. 6. 374-376 (2003)