2004 Fiscal Year Annual Research Report
イオン打ち込み法によるナノ構造半導体の微細構造制御とその光機能新材料としての応用
Project/Area Number |
15510100
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
岩山 勉 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (70223435)
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Keywords | シリコン / イオン注入 / ナノクリスタル / シリコンフォトニクス / 光学特性 / 可視発光 / RTA / デバイス応用 |
Research Abstract |
シリコンフォトニクスの材料としてシリコンに着目し、シリコンをベースとした光電子機能デバイスの実現をめざし、発光現象を中心としたシリコンナノクリスタルの光学特性に関する基礎研究を行った。本研究の特徴は試料の作製方法で、従来の半導体プロセスと整合性を持つイオン注入により行ったことである。この手法による二酸化シリコン中のシリコンナノクリスタルの形成は私たちの研究グループが初めて行ったもので、清浄性、化学的安定性などの点で、近年特に注目されている。今年度は以下の研究を中心として行った。 I 発光強度の向上 シリコンナノクリスタルを形成するために電気炉による高温熱処理を数時間行うが、その処理前に高速ランプ加熱(RTA、Rapid Thermal Anneal)により短時間(数分間)熱処理を行うことにより発光効率が1桁ほど向上することがわかった。また、同時に発光波長の制御も可能であることがわかった。これはRTA処理により、核形成が促進され、その後の注入イオン(シリコン)の拡散、結晶成長、結晶化プロセスなどに複雑に影響を及ぼすことが原因と考えられ、その結果として、ナノクリスタルの微細構造が影響を受け、発光強度、発光波長が変化するものと考えられる。熱処理履歴と微細構造の相関を高分解能TEMで調べることは今後の課題である。 II 電界発光 注入層上に金電極を蒸着し電場を印可することにより、フォトルミネッセンスにスペクトル形状の似た発光を観測できることを明らかにした。現時点では発光は極めて微弱でありとても素子応用として実用に耐える発光強度ではないが、電界発光が原理的に可能である事実は重要である。今後、発光効率の向上、注入層の電気的な特性の詳細な評価、熱酸化膜の膜厚制御などによるレーザー化等の実用化も十分可能であると考える。
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Research Products
(5 results)