2003 Fiscal Year Annual Research Report
イオンポンプ蛋白質を用いる光量子変換技術と人工網膜用演算素子の構築
Project/Area Number |
15510107
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
宮坂 力 桐蔭横浜大学, 工学部, 教授 (00350687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 正 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70092385)
徳岡 由一 桐蔭横浜大学, 工学部, 講師 (30339907)
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Keywords | バクテリオロドプシン / 好塩菌 / プロトンポンプ / 酸化スズ電極 / 光センサ / 人工網膜 / 光電気化学 / 紫膜 |
Research Abstract |
感光性のイオンポンプ蛋白質であるバクテリオロドプシン(BR)を好塩菌から紫膜として精製し、その紫膜に各種の処理を施すことによって、本研究の第一の目的であるBRの配向化薄膜を電極上に固定化することを試みた。配向化には蛋白質分子の表面電荷の違いを利用した。紫膜を分散した水溶液の薄層に空気層を挟んで正/負のDC電場を印加しながら、溶液を電界中で乾燥し、紫膜を導電性酸化スズ電極上に固定化させた。この薄膜電極に電解水溶液を含む電気化学セル中で光照射し、BRの光プロトン輸送反応由来の光電流過渡応答を計測した。結果として-100V/cmの負電場のもとで成膜したものが無電界条件で成膜したものより高い光電応答強度を示すことがわかった。この違いはBRがN末端側(プロトン放出サイト)を電極に向けて配向した効果であると考えられる。さらに紫膜中のBRを分子レベルで配向化させる目的で、コール酸Naを界面活性剤に用いて紫膜を可溶化処理し、電場存在下で同様に配向化させる方法を検討した。しかし固定化膜が電解水溶液中で脱着する問題から、その改善方法を現在検討中である。 以上のように、本年度は光電応答の計測を通じて応答を強化するための配向化方法を検討し、BR固定化セルを人工網膜用の光センサとして高感度化するための成膜方法の検討してきた。上記の負電場配向法を使って246画素の二次元アレイからなるBR固定化電極を作製し、イメージセンシングの試験を実施した結果、BRの光電応答の特徴である「時間微分型応答」いわゆるモーションセンシング機能が高い感度で得られることを確認できた。また、この研究に並行して、BRのプロトンポンプ機能のキーとなる蛋白質構造内のアミノ酸の役割を明らかにする解析を、BRの各種変異体(mutant)を使って実施した。この機能解析によって、電解液pHの影響などBRを取り囲む環境がプロトン輸送機能そして光電応答に与える影響を分子メカニズムのレベルで知ることが出来た。本結果を2件の研究報告として出版した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tsutomu Miyasaka: "A Photoelectrochemical Evidence for the role of Glutamate at the Extra-cellular Proton-releasing Residue Site in Bacteriorhodopsin"Electrochemistry. 71(2). 100-104 (2003)
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[Publications] Koichi Koyama: "Photoelectrochemical Evidence for the Role of an Ion Pair of Asp-212 and Arg-82 in the Proton Pumping of Bacteriorhodopsin"Electrochemistry. 72(1). 2-4 (2004)
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[Publications] Sadao Uegusa: "Development of LB Molecules Orientation Technology by Electric Field and Ultrasonic Vibration"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 28. 59-62 (2003)
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[Publications] Tsutomu Miyasaka: "Generation of Photo-Induced Steady Current by Purple Membrane Langmuir-Blodgett Films at Electrode-Electrolyte Interface"Chemistry Letters. 32. 144-145 (2003)