2004 Fiscal Year Annual Research Report
小繰り返し地震の解析に基づく三陸沖における大地震と津波地震の発生過程の解明
Project/Area Number |
15510145
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松澤 暢 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20190449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 知己 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30281968)
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Keywords | 繰り返し地震 / 相似地震 / 準静的すべり / 余効すべり / 固有地震 |
Research Abstract |
釜石沖のM4.8±0.1の地震の再来間隔は1995年の地震の前が最も短く,その地震の後が逆に一番長い.この周辺の小繰り返し地震による準静的すべりの推定を行ったところ,1995年の地震の前に準静的すべりの擾乱があったために1995年の地震発生が早められたことが判明した.このことは,プレート境界型地震が周りのの準静的すべりの影響を強く受ける事を示している. 2003年十勝沖地震の後,余効すべりが東側で活発に生じていた事が小繰り返し地震の解析から明らかになった.これはGPSの解析結果とも整合する.この余効すべりが活発に生じた領域で2004年11月29日に釧路沖でM7.1の地震が発生した.釜石沖の結果ともあわせて考えると,十勝沖地震の余効すべりによって釧路沖の地震発生が促進された可能性が高い. 摩擦構成則を用いたシミュレーションの結果,海溝付近では準静的すべりの伝播速度が速く,深くなるほど遅くなるという結果が得られた.これは小繰り返し地震から得られた観測結果とも一致している.この伝播速度の違いは有効法線応力の違いに起因しており,観測値とあわせるためには,プレート境界の間隙水圧が静岩圧の9割程度(つまり有効法線応力が静岩圧の1割程度)となっている必要性があり,プレート境界は非常に「弱い」という従来の考え方をサポートする結果となった. GPSデータと比較する事によって小繰り返し地震のスケーリング則の検討を行った.その結果,これまでのスケーリング則は概ね妥当であることが確かめられた.一方,これまでの小繰り返し地震の判定基準は十分ではなく,より高周波まで注目した新しい判定基準のほうが,同じアスペリティの繰り返し破壊を正しく抽出していることがわかった. 様々な地域・手法で相似地震の震源再決定を行った.いずれの結果でも,小繰り返し地震は想定されるプレート境界に位置していることが判明した.
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Research Products
(2 results)