2004 Fiscal Year Annual Research Report
カタストロフ・リスクを考慮した港湾施設の耐震性能設計における経済性評価手法の開発
Project/Area Number |
15510156
|
Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
柴崎 隆一 国土技術政策総合研究所, 港湾研究部・港湾システム研究室, 研究官 (50323514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角野 隆 国土技術政策総合研究所, 港湾研究部・港湾システム研究室, 室長 (40370796)
家田 仁 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90168089)
長尾 毅 国土技術政策総合研究所, 港湾研究部・港湾施設研究室, 室長 (30356042)
森屋 陽一 五洋建設(株), 技術研究所, 係長 (50356044)
|
Keywords | 耐震設計 / 重力式岸壁 / 経済評価 / 貨物輸送 / カタストロフ・リスク / 稀少確率リスク / フラジリティ・カーブ |
Research Abstract |
平成16年度は,下記の内容について実施した. (1)港湾施設の被災シミュレーションの継続 昨年度に引き続き,各種設計条件における,港湾施設の被災シミュレーションを行った. (2)従来の港湾施設設計基準に潜在するリスク評価特性の同定 従来の設計基準のもとで得られる被災シミュレーションによる想定結果に,昨年度構築した経済評価手法を適用することで,策定された設計基準の費用便益分析を行った.特に,カタストロフ・リスク等に対する社会的なリスク評価特性を考慮した場合としなかった場合における費用便益分析の結果と,実際に規定された従来の設計基準を比較することにより,従来の設計基準の策定において潜在的に内在したリスク評価特性の推定を行った.その結果,年生起確率については,どんなに小さい確率でも1/100弱程度はあるものと評価される結果となり,稀少確率災害でも供用期間中に一度は発生するものと捉えられることが多いという,筆者らの従来の結果とも概ね一致した.いっぽう,被害額については,額の小さい領域では最大10倍程度大きく評価されるものの,額の大きい領域では実際の被害額より評価値が小さくなる結果となった.なお,今回の結果は,フラジリティ・カーブや貨物流動データの入手制約から,重力式岸壁をもつコンテナターミナル(または多目的国際ターミナルにおけるコンテナ貨物だけの物流被害)に対象を限定したため,桟橋式岸壁が多くを占める3大湾のコンテナターミナルなどは除外されている.また,複数港湾の同時被災等についても考慮しておらず,港湾のもつネットワーク性や相互補完性についても考慮する必要がある.今後は,本研究で提案した設計震度選択問題の枠組を,これらの要素も含めて拡張したうえで,リスク評価特性計測の精度向上を図りたいと考えている.
|
Research Products
(2 results)