2004 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンの動的変動によるゲノム刷り込みの転写制御機構の解析
Project/Area Number |
15510159
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Research Institution | National University Corporation Tottori University |
Principal Investigator |
久郷 裕之 国立大学法人鳥取大学, 医学系研究科, 助教授 (40225131)
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Keywords | 刷り込み遺伝子 / LIT1 / IGF2 / 微小核細胞融合法 / MAR / FISH / RNA / クロマチン |
Research Abstract |
本研究では、ゲノム刷り込み遺伝子を通して核マトリックスとゲノムDNAの特異的結合機構によるクロマチン構造の変化の解析から、クロマチンドメインレベルにおける遺伝子発現制御を明らかにすることを目的とする。 本年度においては、ヒト刷り込み遺伝子IGF2およびLIT1周辺領域に存在する各々3個(IGF2MAR1,2 and 3)および2個(LIT1MAR0 and 1)のMAR領域内でIGF2MAR2およびLIT1MAR1のターゲティングをヒト11番染色体を保持するニワトリDT40細胞内で行い、ターゲティングによる改変ヒト11番染色体を作製した。さらに、刷り込み現象が保持されている細胞内でのMAR領域の発現制御機構を解析するために、これらの改変染色体を微小核細胞融合法を用いてCHO(チャイニーズハムスター)細胞へ導入し、染色体解析によりヒト改変染色体を保持するCHO細胞細胞クローンを単離した。加えて、ターゲティングで置換したpuromycin薬剤耐性遺伝子を含むカセット内に存在するpGKプロモーターが周辺遺伝子の発現状態に影響を与える可能性を否定することができないため、ターゲティング後のpuromycinカセットを排除させることを可能にするCre-loxP配列を保持するターゲティングベクターを作製した。 一方、MAR領域の機能を解析するためにアプローチとして、MAR binding assayを確立した。この方法は、緩い条件下でDNAが核マトリックスに結合した状態で抽出し、DNAase処理によりマトリックスに結合していない領域を消化後、最終的にタンパク質分解酵素を利用してマトリックス結合機能を評価する。さらに、RNA FISH解析を利用したIGF2およびLIT1の発現動態の解析方法を構築した。とくに、LIT1においては、LIT1 RNAは細胞周期を通して安定にLIT1 DNA周辺領域に局在し、noncoding RNAによるクロマチン構造の変化がドメインレベルの遺伝子発現制御に重要な役割を担っていることが示唆された。今後は、このようなアプローチよりターゲティングでMARの機能を破壊した遺伝子および周囲の遺伝子発現に与える効果を調べ、クロマチン構造の変化をもたらすMARの遺伝子発現制御への関与を追求する。
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Research Products
(1 results)