2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム多型の偏りを指標とする日本人集団における自然選択の検出
Project/Area Number |
15510160
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田平 知子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (50155230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 健志 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (00019671)
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Keywords | 多型 / SSCP / 自然選択 |
Research Abstract |
ゲノム中の多数の一塩基多型(SNP)について各人種集団におけるアレル頻度解析をおこなうことにより、人類の分岐後に生じた集団間のゲノム多様性のなかから自然選択によるものを検出することを目的とした。このために自動キャピラリー電気泳動装置を用いたSSCP法によりプールDNAを分離・定量することで集団中のSNPアレル頻度を正確に推定することができるSNP頻度定量システムを利用した。約4000個のSNPについてWeirの方法によりF_<ST>を計算し遺伝的分化の指標とした。日本人と西欧人でアレル頻度が極端に異なるもの(F_<ST>>0.5)は全体の約0.5%でゲノム全体に散在していた。このようなSNPに注目し、それらの周辺領域(約40領域)のSNPについて日本人、西欧人、アフリカ人の3集団でのアレル頻度の比較を行った。その結果、アレル頻度が1集団でのみ異なっているもの、3集団間で異なっているものが領域によって混在していることが判明した。最もF_<ST>の高かった染色体11番q23のPOU2F3遺伝子の周辺領域では3集団でアレル頻度が顕著に異なった。染色体17番p13のNUP88-C1QBP遺伝子領域では日本人集団で特異的に他の2集団とアレル頻度が異なっていた。一方染色体15番q15のGATM遺伝子領域では西欧人集団で特異的にアレル頻度が異なっていた。これらの領域の連鎖不平衡地図を比較した結果、人種集団によりハプロタイプブロックの構造が異なっており、ハプロタイプが共通する部分においても頻度が異なっていることが明らかになった。これらが自然選択によって生じた可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)