2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15510172
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
永井 宏史 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 助教授 (50291026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浪越 通夫 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 教授 (30189196)
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Keywords | フサウンバチイソギンチャク / タンパク質毒素 / AvTX-60A / MACPF / 刺胞動物 |
Research Abstract |
クラゲやイソギンチャクに代表される海産刺胞動物の多くが強力な刺毒を有している。しかし、これまで長い間これら刺毒の多くが非常に不安定なタンパク性の毒素であることが障害となって、その化学的性状の解明はほとんどなされていなかった。そのような状況のもと、我々は立方クラゲ由来の不安定な高分子タンパク質毒素を安定に扱える単離・精製法を確立し、一連の新奇な生理活性タンパク質ファミリーを見出した。また、ウンバチイソギンチャクからも新奇なタンパク質毒素を単離し、そのアミノ酸一次配列の決定に成功した。今までの研究を踏まえ、この「海産生物(刺胞動物)由来の高分子タンパク質毒素の科学」という新しい研究領域をさらに発展させるために研究を行っている。本年度我々は、沖縄に生息する猛毒で知られるフサウンバチイソギンチャク(ウンバチイソギンチャクとは別属・別種)から20kDaおよび60kDaの2種類のタンパク質毒素を単離した。AvTX-60Aと名府けた60kDaのタンパク質毒素についてその全塩基配列ならびにその全アミノ酸一次配列を明らかにすることができた。本毒棄は、以前ウンバチイソギンチャクから単離した毒素PsTX-60Aと高い相同性を有していた。構造解析の結果、これらは分子内に免疫系で働く補体などと同様のmembrane-attack complex/perforin(MACPF)ドメインを持っていることが判明した。これらの二つの化合物はMACPFタンパク質が免疫系で自分の身体を守るためでなく、外部に対して毒として働く初めての例であることが判明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hiroshi Nagai: "Recent Progress in Jellyfish Toxin Study."Journal of Health Science. 49. 337-340 (2003)
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[Publications] 大城直雅, 永井宏史: "沖縄産ウンバチイソギンチャクの刺胞毒に関する研究"うみうし通信. 38. 10-11 (2003)
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[Publications] Tomohiro Honma, Hiroshi Nagai, Yuji Nagashima, Kazuo Shiomi: "Molecular cloning of an epidermal growth factor-like toxin and two sodium channel toxins from the sea anemone Stichodactyla gigantea."Biochim.Biophys.Acta.. 1652. 103-106 (2003)
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[Publications] Yoko Kawashima.Hiroshi Nagai, Masami Ishida, Yuji Nagashima, Kazuo Shiomi: "Primary structure of echotoxin 2, an actinoporin-like hemolytic toxin from the salivary gland of the marine gastropod Monoplex echo."Toxicon. 42. 491-497 (2003)
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[Publications] 永井宏史: "立方クラゲ類の刺胞毒"日本水産学会誌. 69. 827-828 (2003)
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[Publications] Michio Namikoshi, Rika Negishi, Hiroshi Nagai, Andrey Dmitrenok, Hisayoshi Kobayashi: "Three New Chlorine Containing Antibiotics from a Marine-derived Fungus Aspergillus ostianus Collected in Phonpei."Journal of Antibiotics. 56. 755-761 (2003)