2005 Fiscal Year Annual Research Report
阿蘇半自然草原における微環境および家畜の植生利用が植物種多様性に作用する要因
Project/Area Number |
15510196
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
岡本 智伸 九州東海大学, 農学部, 助教授 (70248607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椛田 聖孝 九州東海大学, 農学部, 教授 (50148970)
荒牧 昭二郎 九州東海大学, 工学部, 教授 (40099081)
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Keywords | ネザサ / 放牧 / 阿蘇 / 半自然草原 / 多様性 / 不均一性 / ウシ |
Research Abstract |
放牧利用されているネザサ(Pleioblastus chino var.viridis)優占地において,ウシの放牧や地形が植物種多様性に及ぼす影響を検討した。傾斜に沿って設置した長さ80m,幅0.5mのベルトトランセクトにおいて,1m間隔で50cm×50cmの方形区を抽出し,植物の種組成および現存量を調査した。年間に出現した維管束植物は74種/20m^2であった。方形区間の種組成の類似度は5月において平均62±10%,9月において平均61±10%と,相観では均一性が高いと判断されたスタンドにおいても植生が空間的に不均一であることが認められた。優占種は5月および9月の調査ともにネザサであった。被度と自然高から求めたネザサの拡張積算優占度の方形区間における変動係数(CV)は5月および9月の調査においてそれぞれ19.3%と17.5%であった。同様に各出現種において算出したCVの全出現種間の平均値は5月および9月の調査においてそれぞれ33.6%および39.0%であった。一方、このCVが50%以上の種は5月の調査においては全出現種63種中18種,9月の調査においては58種中23種であった。これらの種の例としてチカラシバ(Pennisetum alopecuroides)をあげてみると,9月の調査における本種のCVは53.8%であった。本種は特に斜面下部において集中する傾向にあった。この領域ではウシによる採食利用率も低く,これには嗜好性の低下を招く本種の出穂が関連していると考えられる。このように空間的な分布には種間で大きな差が認められ,これらには家畜の採食利用性や土壌環境の空間的不均一性が関与していることが示唆された。また,チカラシバとキンエノコロ(Setaria glauca)の間では共通して出現する確率が高いと判断されるなど,特定の種間で空間分布に関連性が認められる事例も見出された。
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