2003 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国の異人種間混淆と混血に関するラテンアメリカとの比較史的研究
Project/Area Number |
15510205
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山田 史郎 同志社大学, 文学部, 教授 (30174717)
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Keywords | アメリカ合衆国 / ラテンアメリカ / 異人種間関係 / ニューイングランド / 混血 / 比較史 / 人種問題 / 白人性 |
Research Abstract |
本年度はまず、Magnus Morner, Race Mixture in the History of Latin America (1967)およびRichard Graham, The Idea of Race in Latin America (1990)を手がかりにして、ラテンアメリカにおける人種カテゴリーの形成と変容の解明に取り組んだ。とくに、ブラジルにおけるセンサスの人種カテゴリーの推移を、米国センサスとの対比のもとで、跡づけることによって、先住民とヨーロッパ人、先住民とアフリカ人、ヨーロッパ人とアフリカ人という3種類の混淆のあり方について重要な分析モデルを構築できた。 このラテンアメリカ混血モデルに照らして、植民地時代から建国初期のアメリカ合衆国における3人種の交わりを再考察する作業にもとりかかった。とりわけ植民地時代ニューイングランド、および18世紀末から19世紀初頭にかけてのニューヨーク北部から五大湖沿岸の地方における白人開拓農民や白人毛皮漁師・毛皮商人と、先住民との結婚や性的交渉、さらにメティス(白人との混血)の先住民部族内での役割などに関する資料の解読をおこなった。その際、東京大学アメリカ太平洋地域研究センターにおける先住民関係史料の閲覧・複写によって得られた知見がきわめて有益であったことを記しておきたい。 今年度は口頭発表や活字の形で研究成果を公表することはなかったが、米国の異人種間関係に関する比較史的視点は、2003年7月に立命館大学で開催された京都アメリカ研究夏期セミナーのセクションII(社会・文化)におけるワークショップIで司会をつとめた際に、テーマである「アメリカの自由」をめぐる議論を総括するにあたって大いに役立った。次頁に記す研究発表は、このことを指している。
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Research Products
(1 results)