2004 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国の異人種間混淆と混血に関するラテンアメリカとの比較史的研究
Project/Area Number |
15510205
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山田 史郎 同志社大学, 文学部, 教授 (30174717)
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Keywords | アメリカ合衆国 / 人種 / 異人種間結婚 / 混血 / 比較史 / ブラジル |
Research Abstract |
1.今年度は、主としてアメリカ合衆国における異人種間結婚について、資料の閲覧・収集・分析を行った。とくに、1920年代にニューヨークで争われた「ラインランダー事件裁判」に焦点を絞り、新聞ニューヨーク・タイムズの記事を狩猟して、事件の概要と法廷審議の進行を把握することにつとめた。本裁判は、白人エリート男性と労働者階層の黒人混血女性との結婚が無効とされるべきであるとする新郎側の申し立てをめぐる裁判であり、混血に対する社会の不安や嫌悪の態度が裁判とその周辺で興味深い形をとって現れた。研究の結果、次の諸点を明らかにすることができた。 (1)裁判の過程で構築された人種概念には、ジェンダーと階級の要素が複雑に絡み合っていた。 (2)異人種問結婚と混血に関して人種概念の恣意性、境界の流動性をたえず熟視しなければならないことが明白となった。この点は、次年度に研究成果をまとめる際に、重要な手引きとなるはずである。 2.アメリカ合衆国とラテンアメリカとの比較に関しては、今年度は、近年上梓された注目すべき先行研究の成果を把握することに主眼をおいた。具体的には、次の2研究書について、その問題設定、方法論、証拠資料、結論について、批判的分析をおこなった。 (1)Anthony W.Marx, Making Race and Nation : A Comparison of South Africa, The United States, and Brazil (Cambridge,1998) (2)Melissa Nobles, Shades of Citizenship : Race and the Census in Modern Politics (Stanford,2000) ただし、この比較研究については、論文等の形で公表するまでにはいたらなかった。公刊は次年度の課題としたい。
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Research Products
(2 results)