2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15510211
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
竹村 和子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (10155046)
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Keywords | 公共圏 / 親密圏 / フェミニズム / ジェンダー理論 / 暴力 / 正義 / 言説 / 権力 / 表象 / 英語圏文学 / 文化 / ポスト国家 / ポスト家族 |
Research Abstract |
今年度の成果としては、2つの方向がある。 一つは、文学・文化表象というきわめて個人的な領域とされている事柄の分析が、実際の政治といかに関わるべきかを、フェミニズムを中軸において、論集のかたちで世に問いかけたことである。ともすれば政治は、具体的・現象的な政治上の力学で捉えられるが、そういった、いわば公共圏に属するものと、人の心に直接に響き、そして私的で個人的と思われる表象受容を橋渡しする必要が、《親密圏/公共圏》の再構築には不可欠と思っているからである。 具体的には、『"ポスト"フェミニズム』(作品社)を責任編集し、序文、現在のフェミニズムの理論的位置の論文、各章のリード、実践的活動家や政治家を交えての座談会3つを企画、参加・執筆した。また専門分野の英語圏文学においては、『かくも多彩な女たちの軌跡--英語圏文学の再読』を共編し、これにも序文・論文・リードを執筆した。その他、共著として参加した著作においては、沈黙化のメカニズムについては「『戦場』としての身体」(『イン・コンテクスト』)、米国フェミニズムの政治性については「フェミニズム」(『事典現在のアメリカ』)で執筆、また英語の著作は、現在の文学・政治地勢のreview essaysを英文学会の機関誌とホーソーン協会の機関誌にそれぞれ執筆。その他インタヴュー・対談・書評を合計8つおこなった。 もう一つは、先回の科研費プロジェクトに続くものとして、暴力の内実を理論化するための思考をすすめ、それは「暴力のその後--『亡霊』『自爆』『悲嘆』のサイクルを穿て」にまず結実した。収録雑誌は『思想』(岩波書店)の「ポスト国家/ポスト家族」特集。今後これの続編を来年度執筆し、本プロジェクト終了時には、単行本として発表するつもりである。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 竹村 和子: "暴力のその後:「亡霊」「自爆」「悲嘆」のサイクルを穿て"思想(岩波書店). 955号. 35-59 (2003)
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[Publications] Kazuko Takemura: "Myra Jehlen, Readings at the Edge of Literature"Studies in English Literature, English Number. No.45(coming soon). (2004)
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[Publications] Kazuko Takemura: "The Life of an Author"The Nathaniel Hawthorne Society of Japan, Newsletter. No.22. 9-11 (2003)
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[Publications] 竹村 和子(責任編集・執筆): ""ポスト"フェミニズム"作品社. 226 (2003)
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[Publications] 竹村 和子(共編著): "かくも多彩な女たちの軌跡--英語圏文学の再読"南雲堂. 334 (2003)
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[Publications] 竹村 和子(共著): "イン・コンテクスト"Epistemological Frameworkと英米文学」研究会. 361 (2003)
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[Publications] 竹村 和子(共著): "ソフィア・フォカ+レベッカ・ライト『"ポスト"フェミニズム入門』"作品社. 187 (2003)
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[Publications] 竹村 和子(共著): "事典 現代のアメリカ"大修館書店(刊行予定). (2004)