2004 Fiscal Year Annual Research Report
地方政府におけるジェンダー主流化の要因について実証的な国際比較研究
Project/Area Number |
15510218
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
橋本 ヒロ子 十文字学園女子大学, 社会情報学部, 教授 (60286119)
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Keywords | ジェンダー主流化 / フィリピン / 地方自治 |
Research Abstract |
本研究は、平成15年度から3年間、中央・地方政府のジェンダーの主流化について開発途上国の中では、制度上、実質ともに進んでいる南アフリカ共和国(南ア)ならびにフィリピンでフィールド調査を行い、その要因について分析する。その上で、経済先進国でありながら、ジェンダーの主流化に関しては遅れている日本の地方自治体におけるジェンダー主流化のためのチェックリストを作成する。 本年度はフィリピン地方政府のジェンダー関連部局担当者、議員、学識経験者やNGOに対する面接調査を中心にフィールド調査を実施した。調査対象地域はマニラから片道3時間のロスバノス市、ミンダナオのダバオ市、セブ市、ネグロス・オキシデンタル州のバコロド市である。 フィリピンの特徴は地方政府に対するNGOの影響力の強さである。NGOリーダーが市議会議員、さらに市長、副市長になっている場合も珍しくはない。キーパーソン的な役割を果たしている女性弁護士がリーダーシップを取っているNGOが市議会議員と連携して、自治体のジェンダーの主流化をすすめている。 フィリピンで、政府、自治体ともにジェンダーの主流化で特徴的なのは、予算の5%をジェンダーの主流化に使うということに法的根拠が与えられていることである。ダバオ市では1997年に市の予算の6%をジェンダー主流化に割り当てるべきであることを条例で定め、1998年には施行規則と作った。この条例の特徴は極めて細部にわたって女性の人権侵害防止、侵害の場合の罰則を定めているということである。セブ市では女性に対する暴力禁止条例を政府より1年前の2002年に制定している。ネグロス・オキシデンタル州では、知事をトップとした州政府の幹部とNGOの代表の委員会を設置している。女性に対する暴力被害者に24時間対応しシェルター並びに研修の施設として女性センターを開所した。女性の人身売買防止条例の制定も検討中である。
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Research Products
(1 results)