2004 Fiscal Year Annual Research Report
変容する身体とジェンダー:日本の女子プロレスラーの考察
Project/Area Number |
15510220
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
合場 敬子 明治学院大学, 国際学部, 助教授 (50298056)
|
Keywords | 身体 / ジェンダー / 女子プロレス |
Research Abstract |
本年度は、主にレスラーのインタビューを実施した。インタビューによって明らかになった事象のうち、下記の2点について報告する。尚、w**はレスラーのID番号である。 1 レスラーとしての身体の獲得過程 レスラーとしての本格的な肉体は、プロレス団体入団後のプロデビューまでの、厳しい練習によって培われている。まず、基礎体力を身につけるため、ランニング、腹筋、背筋、スクワット、首の強化のためのブリッジなど行う。次に、プロレスにとって重要な受け身の練習が開始される。この受け身の練習で、デビュー前の多くの新人たちの体に変化が生まれてくる。リングに叩きつけられる足が黒紫色になり、あざになってしまったり(w07)、肘がすりむけて、血が出て、その跡が残ってしまうこともある(w20)。さらに、ロープワークなど、リングを使った練習が開始される。プロレスリングのロープは、実際はかなり堅い。そこに、背中から反動をつけてロープに当たる練習をしていると、皮膚から血がでて、きれいな3本線がつく。かさぶたができても、連日練習するので、また血が出る。非常に痛い。それでも休み無く練習をしていると、やがて皮が厚くなり、ロープに当たっても、血が出なくなる。このようにしてプロレスができる体になってゆく。 2 変容した体をレスラーはどう感じていたか 多くのレスラーは、様々な変化を語っている。顕著な変化は、首が太くなったことである(w07、w08、w20)。そのため、小さなネックレスがつけられなくなる(w08)。他には、受け身で肩に筋肉がつき、市販の婦人服が入らなくなった(w15)という。また、ウエストのサイズでジーンズを選ぶと、太股でジーンズがひっかかり、はけない(w09)。このような市販の婦人服に自分の体が合わないことを、レスラーたちはそれぼど気にかけていない。むしろ、そのような変化を通じて、まさにレスラーの体になったのだと実感し、「嬉しかった」(w06、w08)と答えている。
|