2004 Fiscal Year Annual Research Report
高専女子卒業生の労働に関する調査研究-技術職現場のジェンダー分析-
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15510231
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Research Institution | Takuma National College of Technology |
Principal Investigator |
内田 由理子 詫間電波工業高等専門学校, 一般教科, 助教授 (90259945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 照子 大分工業高等専門学校, 制御情報工学科, 助教授 (60099900)
奥田 浩司 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 助教授 (90185538)
太田 智加子 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 助教授 (00282020)
角谷 英則 津山工業高等専門学校, 一般教科, 講師 (90342550)
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Keywords | 高専卒業生 / 就職 / 就労状況 / 離職・転職 / ジェンダー観 / 高専教育 / 進路指導 |
Research Abstract |
2003年の調査データをもとに研究メンバーが以下のテーマで分析を行っている。分析対象者は998人である。 (1)回答者像…年齢は約70%が20代、30代、出身学科は約58%が化学・物質・生物、土木・建築工学科という偏りがみられる。 (2)初職の特徴と傾向…初職業態は約50%が製造業、約20%が建設業、職種は約35%が開発設計、また事務が約10%、特に中国地域における事務の割合が高い。約40%以上は従業員数1000人以上であるが、土木・建築工学科の卒業生に限っては10〜49人規模の職場が最も多い。継続率は官公庁、次いで運輸通信業が高い。 (3)離職・転職…労働力率は日本女性のM字型に該当する。657人は離職しており、現在就労者は348人、無職者は309人である。離職者のうち初職の勤務年数は9年以内が92.7%、5年以内では72.9%と非常に高い。転職者・無職者とも、技能発揮できない理由として職場が技術と関係ないとしている者が約50%、特に現職者では60%を超えており、女性技術者の職場の活用のあり方が問われる。転職者の傾向では、技術を活かすキャリアアップ志向の転職と勤務条件重視の転職に大別できる。 (4)ジェンダー観…年収130万円未満の層では性別役割分業否定が35.4%、経済的自立者と思われる層では性別役割分業否定が50%以上である。年齢、業種、業態、勤続年数、勤務先女性比率、職階、離職理由はジェンダー観と関係していない。 (5)高専教育…学校での有意義度は、多数の学科卒業生が勉強をあげているが、情報工学科では人間関係の比率が高い。技術を活かす転職者では、高専教育の活用の否定が約30%であった。高専教育における課題では、専門への適正が最多の34%、進路指導への要望では、現場で働く先輩の情報に次いで同姓技術者が勤務しやすいことをあげており、ジェンダーの視点を取り入れた進路指導が求められる。 (6)高専教育及び進路指導等…進路選択に関して進学を勧める意見が強く、84.5%であった。回答者の傾向として年齢、年収、職種で差はみられない。「学歴社会」という言葉が頻出しており、学歴による差別、収入・昇進面で差別があるという意見が多い。 2004年、全国高専男子卒業生約3200名を対象に女子と同様の郵送調査を実施した。回答622通、回収率は約21%であった。現在データの入力作業を終了し、今後はジェンダー分析を実施する。
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Research Products
(1 results)