2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷川 多佳子 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (30155204)
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Keywords | 主体 / 精神 / エリクチュール / 視覚 / 遠近法 / デカルト / ラカン / ライプニッツ |
Research Abstract |
本年度は、近現代哲学における表象とエクリチュールについて特に以下の諸点からアプローチし、視覚、主体の問題に取り組んでいった。さらにその出発点となる17世紀哲学について形而上学の基点と特徴を明らかにした。以下、研究とその実績の概要を記す。 まず西洋近代の表象について、遠近法を軸に、視覚にともなう主体の設定を示した。次いで、20世紀におけるそうした主体と視覚の問題点を、ラカンとメルロ=ポンテイの業績を参照しつつ明らかにした。さらにそれらの問題点をデカルト、ライプニッツに遡って見直した。(論文「遠近法、視覚、主体」に結実) 他方、日本における表象とエクリチュールのはらむ問題を明らかにすべく、主体、精神、エクリチュールについて、日本の近代化との関係でみていった。とくにそこでの病的形態に注目しつつ日本におけるその特徴を明らかにした。(論文「主体・精神・エクリチュールとその病-日本思想への一視点」に結実した) こうした具体的論究とともに、西洋近代における問題の根底を見るために、17世紀合理主義哲学の大きな特徴を、形而上学と論理、精神(魂)、自然学との関連で、明らかにした。デカルト、ライプニッツ、マルブランシュの哲学を綿密にテクストを検討して、この問題を具体的に明らかにした。(図書「真理の探求-17世紀合理主義の射程」に所収の論文「真理・魂[精神]・自然-17世紀合理主義の一断面」がその成果である)。また、こうした17世紀の根底におけるエクリチュールの位置を、記号という観点から、数学との関連で考察した。(論文「普遍的知への夢」がその成果である) なお3月には、フランスのアンドレ・シャステル研究センターにおいて研究を行い、本年に取り組んだ視覚表象と主体の問題を、20世紀の哲学・芸術との関連で具体的に深めていく。
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Research Products
(4 results)