2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヴォルフ主義哲学との対決から見たカントの近代合理主義批判の再検討
Project/Area Number |
15520005
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
檜垣 良成 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (10289283)
|
Keywords | ライプニッツ・ヴォルフ哲学 / カント / エーベルハント / 合理主義 / 理性 |
Research Abstract |
カント批判哲学の革新性を、ヴォルフ主義哲学との対決という観点から、特に合理(理性)主義の批判として明らかにしようとする研究を、さらに展開させ、総まとめを行なった。 エーベルハルトは、「論理的心理」のもとで「認識の、それの対象との一致」を理解し、「認識の形而上学的真理から認識の論理的真理が帰結する」と言うが、「認識の形而上学的真理」と言う場合の認識はそれ自身「有」として捉えられており、「認識の論理的真理」と言うときの認識、すなわち、「有」の「像」としての認識とは扱いが異なることに注意しなければならない。しかし、「有の形而上学的真理」と「認識の形而上学的真理」との間にはやはり次元の違いがあり、同じように「形而上学的真理」から「論理的真理」が帰結すると言っても「有」の次元における「普遍的諸原理との適合」から、まさしくこの「有」の「像」への関係が帰結するということと、「認識」の次元における「知性および理性の必然的諸法則との一致」でもって、この「認識」の「対象」への関係が保証されるということでは、意味するところが大きく異なるであろう。 結局、オントローギッシュな観点から言えば、「認識」とは独立に、まずもって「有」ないし「実在」(res)が「ある」のであり、「認識」はそれの「像」であるという「実在論」(Realismus)が成立している。他方、認識論的な観点から見れば、「認識」内部の整合性から直ちに、この「認識」が「実際のこと」、「有」ないしは「実在」におけることであることが帰結する。これは、「認識」ないしは「概念」(ratio)、そして「理性」(ratio)が「実在」を吸収する「合理(理性)主義」(Rationalismus)にほかならない。
|
Research Products
(1 results)