2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520021
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
黒川 勲 大分大学, 教育福祉科学部, 助教授 (20264319)
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Keywords | スピノザ / コナトゥス / 物体論 / ホップス / デカルト / スアレス |
Research Abstract |
交付申請書の「研究の目的・研究計画」に対応した研究実績の概要は以下の通りである。 I ホッブスの物体論(De Corpore)とスピノザの物体論との比較,及びコナトゥスの意義の抽出については,ホッブスの物体論の精査と文献・先行研究の資料収集に努め,一方スピノザ哲学の成立史に関係する文献・先行研究を網羅的に収集した。その結果,ホッブスのスピノザへの影響を完全には明らかにしきれていないが,コナトゥスに関してホッブスがもっぱら位置の移動としての運動の意義を見いだすのに対して,スピノザはものの本質として包括的・有機的に運動を説明する方向性が見いだせる。 II デカルトの物体的世界とスピノザの物体的世界の構成に関する比較,及びコナトゥスの位置付けについては,デカルトの物体論(Prinpicia Philosophiae, Meditatio)の精査により,デカルトの物体的世界の構成を抽出し,スピノザのそれと比較考察した。その結果,デカルトの物体論は機械的因果性によって完結した体系をなし,その点でスピノザの物体論と軌を一にするものであるが,心身関係を視野に入れてコナトゥスの位置付けを見るならば,スピノザのコナトゥスは心身を一体的に捉えることを可能とする特徴的なものであることが明らかになった。 III スアレスにおける実体的形相(forma substantialis)のスピノザの物体論との連関の検証については,Suarez Opera Omniaの物体論・運動論の該当個所の翻訳を行い,コンピュータにスキャナによって取り込み整理し,CD-ROM化を図った。
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