2003 Fiscal Year Annual Research Report
東北における徂徠学の継承と変化について-庄内藩学を中心として
Project/Area Number |
15520043
|
Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
瀬尾 邦雄 茨城工業高等専門学校, 人文科学科, 助教授 (90280338)
|
Keywords | 徂徠学 / 水野元朗 / 庄内藩学 |
Research Abstract |
本年度は(1)徂徠学が導入される以前の庄内藩における学問の実態と問題点(2)永野元朗による徂徠学の導入の2点について考察した。 (1)の徂徠学導入以前の期間を第1期最上氏から酒井忠勝入部までとし、第2期初代庄内藩藩主酒井忠勝入部から第六代藩主忠真までとした。第1期では支配の学としての学問観と儒学の在り方、第2期では御用学としての儒学の問題点を考察した。特に、庄内における支配の学としての儒教の問題点を鶴岡市郷土資料館所蔵の古文献に数多く見られる「御百姓」の「御」との関連で検証を試みることにした。また、元禄期から亨保にかけての庄内藩から昌平黌に派遣された朝岡与一郎等による修学状況と、帰藩後の学問の貢献及び影響等を『松竹往来』との関連により考察した。 (2)水野元朗による徂徠学の導入については、元朗の在府時代の日記を基に荻生徂徠や太宰春台等の交流から、元朗・匹田族等がどの様に徂徠学に接近し、庄内藩に徂徠学を導入していったのかを検証した。元朗及び族等が活躍した亨保期は藩主自身が朱子学を奉じていたにも拘わらず、藩政を担う元朗達は徂徠学に接近していった。元朗が藩主の奉じる朱子学を排し、徂徠学に接近していった亨保期の庄内藩の学問的状況を究明すると共に元朗が徂徠学に藩政の根拠を求めていった要因を検証した。
|
Research Products
(1 results)