2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520060
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
安酸 敏眞 聖学院大学, 人文学部, 教授 (40183115)
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Keywords | セバスティアン・フランク / 終末論 / 神秘主義 / スピリチュアリスムス / ラディカル・リフォーメーション |
Research Abstract |
本研究は、プロテスタント的スピリチュアリスムスの「最も重要な思想家」と見なされているセバスティアン・フランク(Sebastian Franck,1499-1542)に照準を合わせ、彼の思想における終末論と神秘主義の関係を解明することを目的としているが、筆者の研究の出発点をなす作業仮説は、フランクのスピリチュアリスムス的教説がキリスト教的終末論の換骨奪胎的再解釈として成立したのではないか、というものである。二年計画の初年度にあたる本年度は、フランクの原典テクストに直接当たって、終末論と神秘主義との間の意義深い関係を剔抉することに力点を置いた。 その際、フランクの二大主著である『年代記、時代の書、ならびに歴史聖書』Chronica, Zeytbuch vna Geschychtbibel(第一版、1531;第二版 1536)と『パラドクサ』Paradoxa(第一版 1534;第二版 1542)を取り上げ、各版の原典テクストを注意深く比較検討しながら、終末論に関するフランクの態度変化を明らかにしようと努めた。しかし初期新高ドイツ語の原典テクストを読解する作業は予想以上に手間取り、フランクのスピリチュアリスムスの思想構造そのものを解明するには、もう少し時間が必要である。 上記の作業と並行して、プロテスタント的スピリチュアリスムス全体の思想構造分析の足場を固めるために、トレルチの『キリスト教教会および諸集団の社会教説』Die Soziallehren der christlichen Kirchen und Gruppenを独自の視点から再検討することも行ったが、それによって来年度の研究に向けて幾つかの重要な示唆を得ることができた。 本年度の研究成果の一端は、「セバステイアン・フランクの根本思想」という学術論文に纏め上げ、日本基督教学会編『日本の神学』第42号に発表した。
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Research Products
(1 results)