2004 Fiscal Year Annual Research Report
批判的社会理論と文化的多元主義との関係についての研究
Project/Area Number |
15520071
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
日暮 雅夫 盛岡大学, 文学部, 教授 (70222239)
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Keywords | 批判的社会理論 / 多元主義 / マルチカルチュラリズム / ハーバーマス / ホネット / 討議倫理学 / 民主的法治国家 / 承認 |
Research Abstract |
この年度においても引き続き、批判的社会理論と文化的多元主義の理論の基本文献を購入・読解し、整理・分析を行った。具体的には、批判的社会理論の文献の分析としては、ハーバーマスの『事実性と妥当性』における民主的法治国家論、『他者の受容』におけるマルチカルチュラリズムとの論争、『道徳意識とコミュニケーション行為』等における討議倫理学の定式化と発展過程を分析した。ホネット文献に関しては、氏の『承認をめぐる闘争』、『正義の他者』の内容を分析・検討し、承認論の形成と発展過程を明らかにした。さらにブレイザーとの論争の内容を検討した。文化的多元主義に関する文献としては、テイラーとキムリッカの諸著作を検討した。(1)成果報告のために学会報告等を行った。具体的には16年度秋に、社会思想史学会において「批判的社会理論の展開」と題するセッションを企画し、そのなかで「多文化主義時代における『承認をめぐる闘争』」という報告を行った。また、同じく秋に、東北社会理論研究会(東北大学大学院社会学研究科主催)における「批判的社会理論の現在」というシンポジウムのなかで「アクセル・ホネットの承認論の展開と論争状況」という報告を行った。(2)成果報告のために訳書・論文等を準備した。ホネットの『正義の他者』(加藤他と共訳、法政大学出版局、2005年5月予定)を完成し出版予定である。盛岡大学紀要に、「ハーバーマスにおける討議倫理学の基本構想」を発表した。『比較文化研究』(盛岡大学)に、「信仰と啓蒙との対話-ヘーゲルの「近代」観-」を発表した。この論文は、ハーバーマスのグローバル化に対する理解を踏まえてヘーゲルを再読したものである。「討議倫理学の展開と公共性の形成」(『研究助成報告論文集第13集』(財)上廣倫理財団発行2005年予定・ゲラ有り)は、ハーバーマスの民主的法治国家における公共圏論を扱っている。
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Research Products
(4 results)