2004 Fiscal Year Annual Research Report
植民地時代南米キリスト教聖堂装飾図像の体系的研究とデジタル・データベース構築
Project/Area Number |
15520082
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岡田 裕成 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (00243741)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 晃 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 助教授 (20290926)
|
Keywords | ラテンアメリカ / アンデス / 植民地美術 / キリスト教美術 / ミッション |
Research Abstract |
本研究は、平成12〜14年度に科学研究費の助成を受けて実施した「南米旧スペイン植民地キリスト教関連施設の美術装飾に関する学術調査」の成果をもとにして、その収集画像のデータベース化をおこなうとともに、これにもとづく美術史・歴史人類学の学際的研究の深化を目的とした。本年度は2年にわたる計画の最終年度として、成果のとりまとめをおこなった。 その主な内容は、1)「メスティソ様式」とよばれる聖堂装飾美術にしばしば用いられた図像モチーフの起源と流通に関する研究、および、2)先住民へのキリスト教布教のプロセスでの画像の利用と、これに対する先住民社会の反応についての研究のふたつからなる。1)については、従来の植民地文化論において支配的であった単純な異文化混交モデルに対し、植民地時代のヨーロッパにおいて形成された他者表象と植民地社会の意外な接点を指摘することで、新たな理解の方向を示した。また、2)に関しては、先住民布教村の運営に関わった宣教師の記録などの精査を通して、とりわけイエズス会の聖像利用に関わる神学的枠組みを論じるとともに、先住民社会の側に存在した宗教的メンタリティーが、外来の宗教的画像の受容の局面に大きな影響を及ぼしうることを明らかにした。 その成果は、ニューヨーク大学美術史研究所(2004.10.1.)、およびパリ杜会科学高等研究院(2005.3.23.において開催したシンポジウム「植民地体制下南米におけるキリスト教美術と先住民社会」において報告し、関連分野の専門家と議論した(岡田裕成:Inverted Exoticism? Reconsideration on"Mestizo" Motifs in the Colonial Church Decoration of the Andes / *Exotismo inverso? Monos, loros y sirenas en la decoracion de las iglesias coloniales en los Andes、齋藤晃:Art and Christian Conversion in the Spanish American Missions : The Case of the Jesuits/Arte y conversion cristiana en las misiones jesuiticas hispanoamericanas)。なお、この発表原稿は、本研究の「成果報告書」に収録するともに、それぞれ公刊の予定である。
|
Research Products
(4 results)