2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本文学のジャータカ説話(本生譚)と源流・インド説話との比較研究
Project/Area Number |
15520103
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
中村 史 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (20271736)
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Keywords | 説話 / 仏教説話 / 比較研究 / ジャータカ / 三宝絵 / スタソーマ |
Research Abstract |
平成15年度・科学研究費補助金による研究活動・実績の概要を報告する。-平成15年6月22日(日)、説話文学会・大会(於駒沢大学)において、「スタソーマ王本生譚の思想的背景」と題し、口頭発表を行った。その内容は「スタソーマ王本生譚の思想的基盤」と少々論題を変更したうえで同学会の機関紙『説話文学研究』(第39号)に投稿、掲載が決まった(→「11.研究発表」欄の「スタソーマ王本生譚の思想的基盤」*論題は変更の可能性がある)。この論文の内容を紹介すれば-日本・平安時代の仏教説話集『三宝絵』上巻・第二話の須陀摩王の本生譚、すなわち、スタソーマ王の^^<ジャータカ>は「持戒波羅蜜」(最高の持戒)の例話として知られるが、インド説話としての歴史をたどれば、本来「真実語」の説話であった。古代インドの叙事詩『マハーバーラタ』のさまざまな「真実(語)」の事例を参照し、スタソーマ王の本生譚(ジャータカ)がどのような「真実語」の説話として読めるかを論じたものである。来る平成16年度には、同『三宝絵』上巻・第一話の戸眦王本生譚について同様の手法で考えてゆく予定である。平成15年度は上記の研究のために、また、ひろく仏教説話関係の資料(原文資料をふくめて)を入手するために、数度の出張を行った(おもに東京大学・東洋文化研究所・図書室)。また、仏教説話の比較研究を目的とする当該の研究のためには、本来自分の研究分野ではなかったインド学・仏教学、思想研究などの新たな分野の研究成果を学び、知見を得る必要がある。そのために、平成15年度・仏教文学・説話文学の学会のみならずインド学・仏教学、思想研究関係の諸学会(パーリ学仏教文化学会、北海道印度哲学仏教学会、日本印度学仏教学会、日本道教学会、仏教史学会等)に出席し多くのことを学び、今後の研究のための基盤をつくることができたのも大きな成果であった。また、説話の比較研究という意味では、報告者が以前からインド説話との比較研究と平行して行ってきた沖縄の伝承・説話の研究でも成果を挙げることができた(→「11.研究発表」欄の「宜保チマシー」、「渡嘉敷ペークー」、「ガーナームイ」)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 中村 史: "スタソーマ王本生譚の思想的基盤(論題変更の可能性がある)"説話文学研究(説話文学会). 第39号(未定). (2004)
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[Publications] 中村 史: "宜保チマシー"小樽商科大学 人文研究. 第106輯. 170-190 (2003)
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[Publications] 中村 史: "ガーナームイ"小樽商科大学 人文研究. 第107輯. 167-188 (2004)
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[Publications] 中村 史: "渡嘉敷ペークー話"立命館大学(立命館大学). 第583号(未定). (2004)