2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520107
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
石井 正己 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30251565)
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Keywords | 昔話 / 博物館 / 遠野 / 柳田国男 / 観光 / 保存 / 活用 / 図書館 |
Research Abstract |
本研究の開始とともに、これまでの研究成果として、春から夏にかけて、『遠野物語辞典』(監修。岩田書院)、『佐々木喜善全集 第4巻』(解題。遠野市立博物館)、『柳田国男と遠野物語』(三弥井書店)などを相次いで刊行した。6月には、日本口承文芸学会第27回大会を遠野で実施し、「口承文芸の研究と継承」というシンポジウムを行った。その後、パネリストなどの原稿を集めて、『遠野からの発信--口承文芸の研究と継承』を編集・発行した。これによって、遠野における昔話の保存と活用における現在の課題を広く提示することができた。 また、本年度は、昔話や『遠野物語』の保存と活用について、どのように考えてとりくんできたかを、行政の要にあった人から聞く機会を作った。「遠野の自立と観光」という特集のもと、「『遠野物語』と田園都市づくり(梅田収得)」「遠野観光の成立と『遠野路』の発刊(菊池幹)」「町おこし運動と新しい郷士理解(多田良城)」という3つの対談を行い、すべての原稿の整理を終えた。さらに、図書館・博物館の側からの意見を補足したいと考え、「遠野常民大学と図書館・博物館(似内邦雄)」の対談を行い、原稿の整理を進めている。 現在は、遠野市立博物館と共同して、佐々木喜善の遺族から寄贈された資料の整理を行っている。佐々木喜善は「日本のグリム」と呼ばれ、日本で最初に昔話の研究を始めた人なので、その資料は、昔話の保存と活用というテーマを考えるうえで重要なものである。それがまとまれば、日本における昔話研究の出発点が明らかになるはずである。この整理と研究は次年度以降も継続するものであり、その成果の一端は、2004年9月から開催される企画展「佐々木喜善展」(仮称)の際に、展示と図録で公表する計画になっている。 次年度には、そうした動きと連動させながら、「昔話と博物館」「昔話と映像資料」といったテーマの論考をまとめ、それに講演録などを組み込み、この間の研究を総合するかたちで報告書をまとめるつもりである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 石井正己: "遠野文化の魅力"遠野文化誌. 21. 1-11 (2004)
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[Publications] 石井正己: "遠野と口承文芸"口承文芸研究. 27. 162-170 (2004)
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[Publications] 石井正己: "『遠野物語』と田園都市づくり(梅田収得と対談)"遠野物語研究. 7. (2004)
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[Publications] 石井正己: "遠野観光の成立と『遠野路』の発刊(菊池幹と対談)"遠野物語研究. 7. (2004)
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[Publications] 石井正己: "町おこし運動と新しい郷土理解(多田良城と対談)"遠野物語研究. 7. (2004)
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[Publications] 石井正己: "図説 日本の昔話"河出書房新社. 111 (2003)