2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520113
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
加藤 洋介 愛知県立大学, 文学部, 教授 (00214411)
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Keywords | 源氏物語 / 河内本 / 別本 / 校異 / 本文 |
Research Abstract |
本年度の研究実績としては、まず平成12〜14年度、基盤研究(C)「河内本源氏物語の本文成立史に関する基礎的研究」の研究成果報告書をまとめた。本研究はこれを受け前年度申請によって継続採択された研究課題である。主たる作業は、源氏物語の唯一の校本である『源氏物語大成』校異篇の別本校異について、刊行の際に割愛された音便や表記の異同を、原本や複写によりながら増補修正することにある。先の研究期間に蓄積したデータおよび今回の平成15年度までの作業をふまえ、桐壺巻から幻巻すなわち源氏物語の約2/3について、『源氏物語大成』校異篇の別本校異の誤りを正し、校異を増補したものを作成した。増補・修正した校異数は約16,000であり、これを研究成果報告書としてまとめ、関係機関・研究者等に送付した。これにより青表紙本・河内本・別本三者について、より詳細な比較検討が可能な環境を整えた。 またその後も作業を継続して行ない、本年度は当初の予定より作業が順調に捗った結果、宿木巻までと手習巻の調査を終えることができた。したがって東屋・浮舟・蜻蛉・夢浮橋の4巻の調査を終え、匂宮から夢浮橋巻までの報告書をとりまとめることが作業として残っているが、これは残された研究期間の2年で十分達成可能な状況にあるといえる。 さらに本年度は研究の視野を拡張し、考察の対象を青表紙本源氏物語にまで広げた。「奥入付載の定家本源氏物語」のタイトルで学会発表を行ない、近々論文化する予定である。またこの過程で『源氏物語大成』の青表紙本校異についても、いくつかの巻を再調査してみたが、やはり河内本・別本と同様の校異の誤りが散見され、また『源氏物語大成』には未収の伝本を加える必要性を痛感させられた。その成果の一部については、本年度活字化して発表したが、なお今後の新たな研究課題となることが期待される。
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Research Products
(2 results)