2004 Fiscal Year Annual Research Report
往来物出版を基軸とした我が国近世江戸期出版状況に関する基盤的研究
Project/Area Number |
15520114
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
母利 司朗 京都府立大学, 文学部, 教授 (10174369)
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Keywords | 往来物 / 仮名教訓 / 女手本かほよ草 |
Research Abstract |
本年度は研究課題「往来物出版を基軸とした我が国近世江戸期出版状況に関する基盤的研究」(平成15年度から17年度)の第2年度にあたり、次のような研究を実行し、成果を得た。 1.近世前期の女子用教訓書を中心に、国立国会図書館の資料については実地に、東京学芸大学望月文庫については同図書館作成の画像データベースにより文献資料を継続的に調査した。 2.1の調査内容に基づき良質な内容を備えると判断された個人蔵の文献資料を、CD-R媒体に複製した電子資料の形で収集した。また女子用往来の写真版複製である『女大学資料集成』を収集した。 3.以上の研究をふまえ、次のような考察結果および成果を得た。 (1)近世の女子用教訓書として最も流布した『女大学』の出版以前に、嫁入り前の女に手紙を送ったという形の名称不定の往来物(『烏丸状』『三条西殿教訓状』『仮名教訓』など)が近世前期に流布していた。 (2)その最も古態を伝えるものとして、従来群書類従本『仮名教訓』があげられていたが、現在確認できる最も早い版本は、承応ころ刊行の『女手本かほよ草』であり、同書は寛永頃までその刊行をさかのぼらせて考えられる。 (3)『女手本かほよ草』からやや遅れ、貞享・元禄ころ、異本ともいうべき内容の類本が出版されるが、今日伝存する伝本から考え、当初は書道の手本としての性格が強かったと想像される。 (4)上記に基づき、元禄十四年写本の翻刻紹介を兼ねた「『女手本かほよ草』と『仮名教訓』系女訓書」を著した。
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Research Products
(1 results)