2004 Fiscal Year Annual Research Report
浮世絵の画像データベースによる文学的・演劇学的解釈の研究-見立の手法の歴史的展開の解明-
Project/Area Number |
15520134
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
山下 則子 国文学研究資料館, 文学形成研究系, 教授 (40311162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武井 協三 国文学研究資料館, 文学形成研究系, 教授 (60105567)
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Keywords | 見立 / やつし / 役者絵 / 擬え / 当世化 / 浮世絵 / 文学的解釈 / 演劇学 |
Research Abstract |
科学研究費補助金による補助事業の2年目である本年度は、「文学的・演劇的解釈の研究」のコンテンツ部分の考察を深めるべく、日本人の美意識の問題にまで対象を広げて研究し、庭園文化や立花などの芸能、俳譜や演劇関係資料における見立て、近世後期見立て役者絵の解釈などを焦点とした共同研究を開始した。そして、この共同研究の成果を、『近世文芸の表現技法<見立・やつし>の総合研究プロジェクト報告書』に掲載した。同時に浮世絵(見立て役者絵)37枚を原本購入による収集を行い、他機関に所蔵される見立て役者絵も収集を行った。 具体的には、平成16年7月23日「近世後期役者絵の見立て」(発表者山下則子)、平成16年9月22日「見立てとヤツシと-日本人の美意識から俳譜におよぶ」(発表者立教大学教授加藤定彦氏)、平成17年1月19日「人形浄瑠璃の見立番付の紹介」(発表者武井協三)、「近世後期見立役者絵の解釈」(発表者山下則子)が、共同研究会の題目である。毎回5〜8人のこの問題に鋭角的に取り組んでいる研究者が参加し、非常に専門的かつ有意義な研究会が行われた。この時の発表はその後共同研究会討議なども盛り込んで原稿化され、『近世文芸の表現技法<見立・やつし>の総合研究プロジェクト報告書』に掲載された。今年度共同研究による最も大きな成果は、日本人の美意識に非常に深く影響しているものが「やつし」即ち「当世化」であり、見立てはかなり特殊な表現方法であることが判明したことである。また、「見立て」と「擬え」、「当世」などと明記されている役者絵35点を、ひとつひとつ丁寧に解釈することにより、それらの間の相違点が明確化した。即ち「擬え」「当世」は「やつし」という意味である。 原本購入による収集は以下の通りである。『見立三十六歌撰』6点、『役者見立て東海道五十三駅』6点、『見立やみつくし』2点、『見立月尽』2点、『当世七小町』2点、その他見立て絵19点である。また、国立国会図書館蔵見立役者絵や、都立中央図書館特別文庫室蔵見立役者絵を収集した。収集した見立役者絵の画像データベースの作成を行った。また、収録した画像データベースに、書誌及び「見立」の文学的・演劇学的解釈を付した。また前年度に収集したヴェネチア東洋美術館所蔵の見立役者絵を含む日本書籍類の目録を作成した。
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Research Products
(4 results)