2005 Fiscal Year Annual Research Report
浮世絵の画像データベースによる文学的・演劇学的解釈の研究
Project/Area Number |
15520134
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
山下 則子 国文学研究資料館, 文学形成研究系, 教授 (40311162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武井 協三 国文学研究資料館, 文学形成研究系, 教授 (60105567)
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Keywords | 見立 / やつし / 役者絵 / 擬え / 当世化 / 浮世絵 / 文学的解釈 / 演劇的解釈 |
Research Abstract |
科学研究費補助金による補助事業の3年目である本年度は、浮世絵における「見立」の定義を明確にさせるべく、コンテンツ部分の研究を進めると同時に、近世中期の「やつし」の手法を用いた浮世絵と近世後期見立役者絵の相違の研究、近世後期見立て役者絵の見立の解釈などを中心に、共同研究会を開催した。そして、これらの成果は、『近世文芸の表現技法<見立て・やつし>の総合研究プロジェクト報告書 第2号』に掲載した。加えて、原本購入により、浮世絵(『二十四孝見立画合』、『見立月雪花』、『見立十二支』、『源氏見立八景之内』、『今様擬源氏』、『其姿紫の写絵』など)11枚の収集を行った。また、画像処理に対応するため、高容量のパソコンを購入した。 具体的には、国際浮世絵学会常任理事の新藤茂氏に、浮世絵における「やつしと見立の定義」についての発表を行っていただき(平成17年8月2日)、また、当館所蔵の近世後期役者見立絵『役者見立東海道五十三駅』に関して、その成立と見立についての研究を発表してもらい(平成17年12月26日)、浮世絵研究者や国文学研究者10名ほどで検討を重ねた。その結果浮世絵における「見立」と「やつし」の違いについて、問題点が明確化してきた。前年度から発展した研究成果としては、「擬え」「当世好男子伝(とうせいすいこでん)」というのは、見立の一種である、ということが判明した点にある。宝暦〜寛政期に出版された見立絵本に、ほぼその先蹤があるような浮世絵の場合、それが見立の一種であることは歴然としている。また、山下則子「近世後期見立役者絵の解釈(二)」(『近世文芸の表現技法<見立て・やつし>の総合研究プロジェクト報告書 第2号』所収)において、前号発表成果の訂正も含んで、近世中期のやつし絵、近世後期の見立役者絵計11点の、詳細な「やつし」の解説と「見立て」の解釈を行った。
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Research Products
(1 results)