2004 Fiscal Year Annual Research Report
政治と詩学:ルソー『ダランベール氏への手紙』とジュネーヴ共和国
Project/Area Number |
15520138
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 淳二 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (30282544)
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Keywords | ルソー / 演劇と政治 / フランス18世紀 / 表象批判 |
Research Abstract |
この研究は、政治共同体としてのジュネーヴ共和国と表象芸術とりわけ演劇との関連を究明した研究である。ルソー『ダランベール氏への手紙』(1758年)は、ダランベールが『百科全書』項目「ジュネーヴ」で、ジュネーヴに劇場建設を勧めたことを批判する論争の書であり、演劇の社会政治的問題を広範に論じたイデオロギー的分析であり、そして啓蒙思想内部における不協和音がついに表面化したという意味で重要な思想史的意味を持つ書物であった。研究成果としては、平成15年(2003)年8月に米国ロサンゼルス市UCLA大学で開催された国際18世紀学会(ISECS)第11回世界大会に参加し、P.Coleman氏(UCLA大学教授)、O.Mostefai氏(ボストン・カレッジ教授)というアメリカを代表するルソー研究者の二人とともに『ダランベール氏への手紙』をテーマにパネル・ディスカッションの開催である。この発表SATO, Junji《Geneve et son double : la Lettre a M.d'Alembert》の日本語ヴァージョンは、成果報告書に掲載される。これに引き続き、2004年5月東京白百合女子大で、阿尾安泰・九州大学教授ならびに増田真・京都大学助教授の参加を得て、同様の『ダランベール氏への手紙』の政治的思想的また文芸学的な意味というテーマでシンポジウムを開催するという成果を挙げることができた。この二人の論考も本研究の成果報告冊子に収録公表される。最後に、この研究は佐藤によるルソーの政治思想が持つ根源的な表象批判という性格の研究に発展しつつある。2005年発表の佐藤淳二「国家の起源と女性への暴力」(北海道大学文学部紀要115号)は、本科研補助金による研究の成果であると同時に、次なるテーマへの展開を記すものである。
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Research Products
(1 results)