中世フランス語版ジャン・ブレット『典礼大全』の言語地理学的・文献学的語彙研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15520151
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 松村 剛 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00229535)
• Keywords: 中世フランス語 / フランス語史 / 言語地理学 / 地方語 / 典礼 / 宗教用語

Research Abstract

中世フランス語版ジャン・ブレット『典礼大全』の校訂版を作成すべく、パリ国立図書館所蔵ラテン語写本995番のマイクロフィルムを基に、テクスト本文の確定を行った。その際、ラテン語のテクストとの照合を綿密に行い、校訂版においても比較検討が容易にできるように章・節の区分を明示した。中世フランス語版のテクストにおいて注目すべき単語・表現を収集した。とくに、アントワーク・トマが先行研究しておいて明記していなかったオルレアン地方固有の動詞活用型に注目し、先行研究を補完する作業を行うとともに、フランス西部・南部地域に特有の地方語をとりあげ、それぞれの使用範囲を各種地図・言語地図を活用しつつ明らかにした。他方、フランス語史において注目に価する単語にも注意を払い、典礼に関するものを中心とした宗教用語において、従来初出とされていたものよりも大幅に早い時期に登場している例を数多く収集することができた。『典礼大全』以外にも、同時代のその他の中世フランス語の様々な作品を詳細に研究し、その問題点を文献学的・言語地理学的な手法により明らかにする作業も行った。いずれの場合も、欧米の研究者にも役立つべく欧米でフランス・ドイツの学術誌に成果を発表することができた。

Research Products

• [Publications] 松村 剛: "Compte rendu : R.A.Lodge et K.Varty, The Earliest Branches of the Roman de Renart"Zeitschrift fur romanische Philologie. 119. 163-166 (2003)
• [Publications] 松村 剛: "Compte rendu : Gt.Palumbo, Les trois fils de rois"Zeitschrift fur romanische Philologie. 119. 171-173 (2003)
• [Publications] 松村 剛: "Compte rendu : F.Godefroy, Dictionnaire de l'ancienne langue franyais, version Electronique"Revue de Linguistique romane. 67. 265-270 (2003)
• [Publications] 松村 剛: "Compte rendu : Tobler-Lummatzsch, Altfranzosisches Worterbuch, version Electronique"Revue de Linguistique romane. 67. 270-272 (2003)
• [Publications] 松村 剛: "Compte rendu : L.S.Crist, Baudouin de Sebourc"Revue de Linguistique romane. 67. 603-610 (2003)
• [Publications] 松村 剛: "Compte rendu : Octovien de Saint-Gelais, Le Sejour d'Honneur"Revue de Linguistique romane. 67. 611-615 (2003)