2004 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀後半のフランスにおける小説の受容に関する、文化史的研究
Project/Area Number |
15520155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 志朗 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90138610)
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Keywords | フランス文学 / 読書の文化史 / 活字メディア / ゾラ / バルザック / 新聞小説 |
Research Abstract |
・受容研究において、きわめて重要な領域である「読書の文化史」に関しては、イタリアをも含めて、同時代のさまざまな読書図像を収集して、データの蓄積をおこなうとともに、読書の身体性という問題系ともからめて考察をした。 そして、その成果の一端を、「19世紀の読書する女性」として口頭で発表した(慶應義塾大学21世紀COE《心の統合的研究センター》主催シンポジウム「本を読む姿の西・東」、2004年12月10日)。問題意識を共有する日本文学研究者との議論を深めることができたので、今後の研究体制への基礎を築くことにもなった。 ・本研究の実践態として、研究代表者は、《ゾラ・セレクション》全11巻(藤原書店)の編集にあたっているが、2004年度は、1、5、6の3巻の公刊にこぎつけることができた。そのうち第1巻「初期名作集」は、宮下志朗が翻訳・解説等を担当している。本邦初訳の短編・評論の数々を含むもので、意義のある出版だと信じている。なお、本セレクションも、8、9、11だけを残すところとなった。 ・19世紀末の一大ベストセラーとなった新聞連載小説『パン運びの女』(モンテパン作)に関しては、毎週発売された「分冊」を合本したものの具体的な調査をほぼ終えたが、手元に1種類しか所持せず、別の刊本との比較が不可欠ではないかという認識にも達している。こうした大衆小説の「使いまわし」の実体を把握する必要をますます感じている。
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Research Products
(4 results)