2004 Fiscal Year Annual Research Report
15世紀ノヴゴロド及びモスクワ諸年代記の文献学的研究
Project/Area Number |
15520162
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中澤 敦夫 富山大学, 人文学部, 教授 (90242388)
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Keywords | ノヴゴロド史 / 中世ロシア史 / 年代記学 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続いて、15世紀のノヴゴロド・モスクワ年代記の中でもキーとなる年代記「ノヴゴロド・カラムジン年代記」の第1部について、その出典を特定し、出典の読みとの異読を網羅的に示し、出典の特徴などについて注釈づけした「注釈テキスト」の作成を主要な課題として研究を進め、この年代記については「注釈テキスト」を完成させた(最終的には科研研究報告書に発表予定)。現段階で262頁のテキストに全部で約五千の注釈を付しており、これまでの年代記研究にない精密な出典研究である。今後、この「注釈テキスト」が、15世紀のノヴゴロド・モスクワの年代記の影響関係を明らかにしていく上での基礎資料になる。 この作業に引き続いて、同様に「ノヴゴロド・カラムジン年代記」の第2部の「注釈テキスト」の作成に取りかかった。これは、現時点ではまだ5分の1〜4分の1程度の進行であるが、少しずつ作業を進めている。この第2部は、出典を特定することが難しいか、あるいはまったく不明の記事が多く認められ、これをどのように考察していくか問題点が多い。その意味では現在から来年度にかけての研究が山場になると考えている。 なお、第1部、第2部の「注釈テキスト」を作成するなかで、参考とすべき資料を調査するために、平成16年8月29日から9月9日まで、ラトビアのリガ市に滞在し、リガ大学図書館、ラトヴィア歴史博物館などで年代記関連の刊本・写本の調査を行った。その結果、17世紀の古刊本「シノプシス」など研究に役立つ文献を集めることができた。
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Research Products
(1 results)