2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520174
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ヨコタ村上 孝之 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (00200270)
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Keywords | 亡命文学 / ロシア文学 / ディアスポラ / マトヴェーエフ |
Research Abstract |
平成15年度は、主に資料を収集し、研究の出発点となるデータの整備に努めた。ロシア語・日本語の、日露関係資料、19世紀後半から20世紀初頭の極東ロシアにかんする書籍、亡命文学の一般理論などを購入し、マトヴェーエフに関する調査を開始した。6月のウラジオストクへの外国出張の際にも資料の収集に努め、極東国立大学図書館、極東国立公文書館、アムール川流域研究協会図書館、アルセーニエフ名称博物館、ウラジオストク公立図書館を訪問した。また、極東国立大学およびロシア極東科学アカデミー歴史学研究所の研究者等と、当該研究テーマに関する研究打ち合わせ、相談を行った。視覚的資料をも収集していくために、ビデオ・カメラ、デジタル・カメラを購入し、ウラジオストクや神戸でマトヴェーエフにまつわる場所、建造物、人物などの映像資料化を進めた。研究成果の整理・論文執筆などのために、ノート・パソコンを購入した。これらの資料の調査を通じて、マトヴェーエフがいかに「日本で生まれた最初の白人」というイメージで見られるようになったか、彼がソビエト連邦草創期のロシアでなぜ迫害を受けるようになっていたのか、そして、そのことによって国外追放され、デラシネとなった彼が、それ以前の極東時代にくらべるとどのように異なる視点の文学を生み出すようになっていったかが次第に明らかになってきている。 こうした成果をふまえて、12月には米国に出張し、カリフォルニア州立大学図書館にて亡命ロシア人文学に関する資料収集を継続するとともに、今までの研究成果をサン・ディエゴにおいて開催されたアメリカ近代語学会にて発表した。
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