2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520177
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高岡 幸一 大阪大学, 言語文化研究科, 教授 (40065470)
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Keywords | サンスクリット / パンチャタントラ / マハーヴァストゥ / パーリ語 / ジャータカ |
Research Abstract |
本年度は本研究『古代インド説話を東西比較説話研究』に着手した第一年度であり、基本的にはこの研究に関わる周辺の資料収集に専念した。これと同時に従来から行っているインドにおける説話関係の研究に多くの時間を当てた。この分野においては、いままで主にサンスクリットで書かれた『パンチャタントラ』や仏教関係では『マハーヴァストゥ』を中心に説話研究に日を向けてきたが、本年度はパーリ語によろ『ジャータカ』研究に没頭した。勿論内容的には『マハーヴァストゥ』と同様に仏教経典ではあるが、インド説話研究では『ジャータカ』研究はどうしても見過ごすことができない資料である。この方面においても今回収集した参考文献は一部役立たせることができた。言語的にはパーリ語はサンスクリットと比べると口語的であり、慣れると比較的容易ではあるがとにかく『ジャータカ』には膨大な数の説話(430)が含まれており、一気に全体像を見るのは困難であり、この段階での研究はこの先も続行する必要がある。ただ、日本では『ジャータカ全集』や『南伝大蔵経』などの日本語訳でも内容を知ることが勿論可能ではあるが、説話の技法や文体を検討するには原典を一つ一つ読むことがどうしても必要となる。テキストや辞書ではPTS出版のものに拠ったが、『ジャータカ』の文体研究といった分野ではいまだ日本では本格的な研究があまり見られず、英独仏の場合と比べこの分野では立ち遅れている感がする。まだこの作業は前述のごとく完成してはいないし、全体の1/3程度ほどしか進んでいないとはいえ、すでにいくつかの有益な観察を得ることができたと思う。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 高岡 幸一: "マリ・ド・フランスにおける象徴性と説話性"言語文化研究. 第30号. 237-249 (2004)
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[Publications] 高岡幸一, 柏木隆雄他: "エクリチュールの冒険 --新編・フランス文学史"大阪大学出版会. 306 (2003)