2003 Fiscal Year Annual Research Report
ジュール・ルナールの政治活動と文学のかかわりについて
Project/Area Number |
15520179
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
住谷 裕文 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00127341)
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Keywords | ジュール・ルナール / 政治 / 文学 / 第3共和政 / ジャン・ジョレス / 中部フランス / ドレフュス事件 / モラリスト |
Research Abstract |
本研究は3年にわたって行われるものであり、初年度の本年はこれからの3年間の研究に不可欠な文献の収集および本国の研究者との交流のための準備、広い視野からの研究テーマの確認といったことが必要であった。研究課題はルナールの政治活動と文学のかかわりを探ることにあり、ジュール・ルナールの政治活動の全体像をとらえるためにはフランス第3共和政の歴史とその特質を把握し、ことにその中でも彼が共鳴したジャン・ジョレスを中心とする社会主義者たちの動き、そしてルナールが政治に覚醒する契機となった、あのフランスの社会に大きな波紋を引き起こしたドレフュス事件の経過をも掌握する必要があった。また彼の文学と政治の本質的な関係を究明するためにはフランスにおける政治と文学のかかわりの歴史、ことにモラリストの場合のそれを踏まえる必要もあった。さらにはルナールが村長として生きたのは中部フランスの田舎であった事実も忘れることはできない。これらのことを具体的総合的に捉えるために実際に現地を訪ねる必要もあるし、文献の精読もさることながら何よりもフランスの研究者との対話が不可欠であった。10月からのあわただしい交付ではあったが、短期間に所期の目的はかなり達成されたのではないかと喜んでいる。 以上述べたように、これからの2年間の研究のための基礎がためという意味では十分その成果を上げえたと認めていいと思う。ただし研究成果の公表についてはまだその時期ではなく、2年目以降にむけさらに収集した文献の分析を重ね、初年度で築いた考察のための大枠の認識にもとづき考察を加えてゆきたいと考えている。
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