2005 Fiscal Year Annual Research Report
ジュール・ルナールの政治活動と文字のかかわりについて
Project/Area Number |
15520179
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
住谷 裕文 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00127341)
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Keywords | ジュール・ルナール / 政治 / 文学 / 第三共和制 / ジャン・ジョレス / レオン・ブルム / ニヴェルネー / ドレフュス事件 |
Research Abstract |
本年度は、当初予定していたルナールと地方文学者のかかわりをさぐるために、九月末にクラムシーの博物館、図書館を訪問調査し、とくにクロード・ティリエの理解に必要な基本的資料を集めることが出来た。残念ながら彼以外の文学者については調べがつかなかったが、ルナールの彼にたいする関心の持ち方から、つぎのようなことが分かった。ルナールはティリエとニヴェルネー地方モルヴァンの風土への愛着と澄明な妥協を許さぬ気質を共有し、そこに深く根ざした作家であること、またルナールの村長としての生き方もティリエが見せた政治的態度と深く通底すること、これらからルナールのティリエにたいする親愛の念は生じていることである。以上のことはこの3月末締め切りの大阪教育大学紀要に発表するティリエにかんする彼の講演の拙訳を通じて明らかになるであろう。 また本年は科研費による研究「ジュール・ルナールの政治活動と文学の関わり」の最終年度であると同時に、過去三年間の調査研究の総括の年でもある。この課題を考察するにあたってはやはりジャン・ジョレス、レオン・ブルムとの関係が重要で、ことにジョレスとのそれは大きいので、ドレフュス事件からフランス社会党の創設、ユマニテ紙の刊行等に注目しながら、彼との関わりでこの課題の論考をまとめる準備をしている。初年度次年度の調査に加えて、本年度訪ねたパリ郊外のMusee de l'Histoire Vivante提供の資料は、ことにジョレスの政治家としての生涯を考える場合にこの上なく有益なものであった。 単年度で見てもまた三年間の研究の最終年度として見ても、科研費による調査・資料収集によってえられた成果は、短時間で組み尽くせない豊かなものがある。
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Research Products
(2 results)