2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520180
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三木原 浩 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (70116177)
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Keywords | シャンソン / メロドラマ / オペラ / オペラ・コミック / オペレッタ / 映画 |
Research Abstract |
1.フランス革命後、パリに生まれ、19世紀をとおして隆盛を極めたメロドラマの劇作術は、本来の演劇の領域を超え、大衆娯楽としての小説、オペラ・コミック、オペレッタ、さらには映画へと広がりを見せていった。小説・戯曲・オペラとしての『椿姫』、小説・オペラ・コミックとしての『カルメン』、オペレッタとしての『ジプシーの恋』等々に通底するのは、つねに観客の心を揺すぶって止まない様々な「情動的効果」の多用であり、その「情動的効果」が織り成す枠組みこそが、メロドラマ的パラダイムであることを明らかにした。さらに、これを適宜数編選出した20世紀シャンソンに適用し、見事なまでにメロドラマ的パラダイムからなることを実証した。シャルル・アズナヴール作詞作曲『ぼくの感動的な恋』『ひとりの少女』等の作品分析がそれにあたる。その際、メロドラマが、20世紀以降映画等の視覚芸術に大きく進出したことを踏まえ、映画の中で象徴的に試用されているシャンソンにも着目し、メロドラマ的映画の中でのシャンソンの役割についても言及した。『カサブランカ』論、『夏物語』論は、その謂いである。 2.平成16年9月1日〜9月18日にかけてパリに海外渡航し、申請の目的どおり、シャンソン関係の文献資料を各種収集しただけでなく、オランピア劇場、パレ・デ・コングレ他、いくつもの小劇場の実態を調査し、現在のパリにおけるシャンソン受容における知見を得た。短期間の滞在中に、シャルル・アズナヴールの講演に遭遇したのは、大きな成果だった。報告書にその作品論を加える所以である。 3.平成16年12月14日、東京の国立国会図書館で、シャンソン研究家の故葦原英了氏の著書他シャンソン関係のコレクション目録を調査し、研究の参考とした。 4.当該科学研究費補助金による研究成果を上げるため、同学のシャンソン研究者たちとの研究会等の機会をもち、相互に意見交換、資料貸借し、知識・知見を広げた。 (1)平成16年12月10日、神戸大学国際文化学部にて、「第4回シャンソン研究会」を開催。参加者15名。三木原が『シャルル・アズナヴールのメロドラマ的シャンソン≪ひとりの少女≫及び≪ぼくの感動的な恋≫』をテーマに研究発表し、その際の質疑応答は大変有意義だった。 (2)平成16年12月15日、東京にてシャンソン研究者大野修平氏と会談、シャンソンついての知見と貴重な資料の提供を受けた。 (3)その他、信州大学人文学部助教授吉田正明氏ほかシャンソン研究者と、日常的にE-mail交換し、情報交換し、当該科学研究費補助金による研究の質を高める努力をした。
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Research Products
(5 results)