2004 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ環境文学の風景構築における人種とジェンダーの問題について
Project/Area Number |
15520184
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 詔子 広島大学, 総合科学部, 教授 (60071536)
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Keywords | 風景 / ピクチャレスク / ソロー / ルーミニズム / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究「アメリカ環境文学の風景構築における人種とジェンダーの問題について」は、環境文学の新しい風景構築に作用する様々な要因を、支配的文化の脱中心化と、周辺化され声を奪われてきた人種とジェンダーの側面から再検討し、非白人、ネイテイアイヴアメリカン作家、とくに女性作家について風景創造と人種・ジェンダーの関係を3点で明らかすることを目標とした。 1)ソロー、ミュアー、アビーなど白人男性作家の風景とピクチャレスクの伝統の関係についての再検討 2)TT.ウイリアムス、メアリー・オースティンなど白人西部女性作家の風景とジェンダーの関係について 3)その他のアメリカ南西部女性作家の風景とジェンダーの関係について 各課題についてそれぞれ以下の研究成果があった。 1)(1)論文「測量技師ソローと沼地のポリティックス」(『新たな夜明け』所収)においてソローの測量技師としての仕事の実態解明を試みて、測量と風景構築の関係を論じ、ソローが沼地の土地開発に反対し環境保護の思想へと発展した過程を明らかにした。 (2)"Global Walden"(米ソロー学会誌、The Concord Saunterer所収)ソロー『ウォールデン』と日本のネイチャーライティングの伝統の関係が鴨の長明の『方丈記』に始まることを論じた。 2)と3)(3)論文「テリトリィからプレイスへ-『ウォールデン』と『境界の失われた土地の物語』(ASLE-J国際学会論文集所収)でソローとメアリー・オースティンの関係を論じ、南西部女性作家が東部の男性作家の風景把握を、ジェンダーと人種への多文化的アプローチからいかに改変したかを考察した。その他としてソロー論集、No.30およびNo.31で米ソロー協会会報の記事と最近の研究動向を紹介した。
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