2003 Fiscal Year Annual Research Report
16・17世紀イングランドにおける地図製作とシェイクスピア演劇
Project/Area Number |
15520205
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
勝山 貴之 同志社大学, 文学部, 教授 (30204449)
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Keywords | シェイクスピア / 近代初期英国演劇 / 地図 |
Research Abstract |
イングランドの地図製作とシェイクスピア演劇の関係性を解明しようとするこの研究は,イングランドの地図製作に見られる中央集権国家としてのイングランドを成立させようとする君主の権力イデオロギーを分析しながら,文化の産物としての地図がシェイクスピア演劇にどのような形で表象されているかを解明するものである。 前年度から継続してきたプロジェクトとして,エリザベス政権におけるアイルランド地図の製作過程を辿ることによって,そこに存在する国家のイデオロギーを解読し,同時にそうした帝国の理念がシェイクスピアの劇作品『ヘンリー六世・第二部』にどのような形で表象されているかについての研究を完成させた。この研究は,「アイルランド地図の誕生と『ヘンリー六世・第二部』-アイルランドをめぐるエリザベス中央集権国家の葛藤」と題する論文として,論文集『表象と生のはざまで-葛藤する米英文学』に収録され,2004年5月に英宝社から出版される。 また16世紀末から17世紀初頭にかけて製作されたロンドン市の地図を取り上げ,君主による地図と市長による地図の違いに注目し,その相違に君主制のイデオロギーと市民政治のイデオロギーの対立を読み取りながら,両者の衝突を中心にシェイクスピアの劇作品『コリオレーナス』を分析した。「ロンドン地図と『コリオレーナス』」と題するこの研究は、2003年12月,九州シェイクスピア研究会で発表,更に2004年2月,関西シェイクスピア研究会で発表し,それぞれの研究会のメンバーと意見交換をした。論文は,『同志社大学英語英文学研究』第77号(2004年3月)に掲載されている。 近代初期イングランドにおける地図製作に関する文献のデータベースの作成は,国内で入手可能な文献を中心に,現在,進行中である。
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Research Products
(2 results)