2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520209
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
大島 由起子 福岡大学, 人文学部, 教授 (40168919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 いずみ 大東文化大学, 法学部, 教授 (00185563)
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Keywords | アメリカ文学 / ハーマン・メルヴィル / 北米先住民表象 / ピーコット族 |
Research Abstract |
大島由起子は、6月にアメリカ、コネチカット州ニューベッドフォードにて開催のダグラス・メルヴィル国際学会で口頭発表した。出張では、メルヴィル学者、フレデリック・ダグラス学者との交流はもとより、往時の捕鯨業中心で逃亡奴隷の逃亡先でもあった街の歴史からも学ばせていただいた。発表では小説『イズラエル・ポッター』において白人主人公をピーコット族に喩えたメルヴィル、ピーコット族の残存者の混血で先住民初の自伝を書いたウィリアム・エイプス、そして黒人の奴隷解放論者フレデリック・ダグラスの三者の作品をつきあわせ、修辞上の共通点を指摘した。公には「絶滅」に追い込まれた部族の残存者は、奴隷とされたケースも多く、そのあたりの事情が、主として扱う人種、階級は異なれ、三者の作品に表れている。 メルヴィル学会誌に掲載予定の拙論、および『白鯨』の共著出版も遅れているため、前者には作品のゴシック的要素を、後者については詩における共通テーマを加筆しつつ今日に至っている。 今年度は、メルヴィルの晩年と作家活動期が重なるマーク・トウェインと先住民との関連についても研究した。晩年のトウェインが、世界各地を訪れ、先住の民にたいするアメリカ帝国主義的拡張を批判するようになるが、こと自国先住民にたいしてはダブルスタンダードに陥る(あるいは意図的にそうする)ことを考察した。先住民への憧憬ゆえにかえって前近代を壊滅したがるトウェインの狂おしさは、白人作家が多かれ少なかれ共通して持つ。 口頭発表 "Reading Israel Potter as National Amnesia: What to the "Impounded Pequod" Slave is the Fourth of July?" Frederick Douglass & Herman Melville: A Sesquicentennial Celebration,平成17年6月23日(ニューベッドフォード捕鯨博物館) 翻訳 「ハーマン・メルヴィル作「ジョン・マー」試訳」 平成18年3月20日総頁9頁『福岡大学人文論叢』第37巻第4号 小倉いずみの主な業績は「オランダのトマス・フッカーと政教分離の生成過程」『歴史のなかの政教分離-英米におけるその起源と展開』(渓流杜)総頁28頁。平成18年3月
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Research Products
(7 results)