2004 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀のイギリス心霊主義の社会精神史的意義に関する研究
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15520218
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 正和 名古屋大学, 大学院・国際言語文化研究科, 教授 (10033408)
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Keywords | 神智学 / マイヤーズ / 心霊主義 / ブラヴァツキー夫人 / 心霊研究協会 |
Research Abstract |
平成16年度においては「19世紀のイギリス心霊主義の社会精神史的意義に関する研究」の当初計画にそって、心霊主義をブラヴァツキー夫人とアニー・ベサントの神智学及びフレデリック・マイヤーズ(心霊研究協会)の心理学に焦点を当てて考察し、それをイギリス社会精神史の文脈に位置づける作業を実施した。その結果、神智学は心霊主義から出発し、ヴィクトリア時代の物質文明への批判的立場を堅持しながら、西洋神秘思想とインド神秘思想に接合することにより独自の霊的進化論にたどり着いたこと、マイヤーズの心理学は、同じように物質文明への反撥と精神的な危機感から心霊主義に共感しながら、それをイギリスの伝統である経験主義的な手法を駆使して心理学的に読み替えたものであるという結論に達した。いずれの場合にも心霊主義という一見「非合理」主義の代表とも見える思考の背景には、「合理」主義的な思考法が息づいているという知見を得ることができた。平成17年1月4日から1月12日まで冬季休暇期間を利用してシドニー大学フィッシャー図書館及びニューサウスウェールズ州立図書館において神智学及びマイヤーズに関する図書や定期刊行物などの資料の閲覧及び複写等の作業を精力的に実施した。年度末には平成15年度から16年度まで2年にわたる研究を「研究成果報告書」(全48頁)にまとめることができた。
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