2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520223
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 文治 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00154857)
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Keywords | 中国伝統演劇 / 戯曲文学 / 白兎記 / 劉知遠 / 李三娘 / 白話 / 成化本 / 四大南戯 |
Research Abstract |
本研究の主要な目的は、成化本『白兎記』の校訂を行い、訳注本を作ることであるから、ここでもその趣旨に則り、未発表分から、成化本『白兎記』16葉bの注釈を掲げる。 ○拝狗(散)〔作〕烏龍-『説郛』所収、宋・章淵撰『槁簡贅筆』によれば、當時「拝狗作烏龍(犬を拝して烏龍の代わりにする)」という「俚語」があったらしく、同書は次のようにいう。「子権…一日、余に問いて曰く、韓致光詩に烏龍を用いるは何事と爲すや、と。余、答う、白樂天の元微之夢遊春に和する詩に『烏龍臥して驚かず、青龍飛びて相逐う』というは、當に是れ犬たるのみ、と。子権曰く、何の據る所ぞ、と。余、これに戯れて曰く、豈に俚語に『拝狗作烏龍』と云うを聞かざるや、と。後に沈汾の續仙傳を閲するに、『韋善俊、一犬を携え烏龍と号す。化して龍と爲り、之に乗り、飛昇して去る』と云えり。樂天・致光の詩は未だ必ずしも此の事を用いざるにあらざるなり」。本劇がここで「拝狗作烏龍」の「俚語」を用いるのがいかなる「打諢」かは明らかではないが、銅錢を紐に通して束にしたものを「錢龍」というから、「烏龍」は或はその「錢龍」を指し、夫婦の貧乏暮らしを揶揄するものかもしれない。○(績)〔緝〕麻線(吊)〔釣〕(甜)〔田〕鶏-『張協状元』第三九出、淨の「打諢」に「日裏織些布、夜裏緝些麻、秋間収些炭、春到採些茶、冬天依舊忍凍、夏月去釣黒麻」という。ここにいう「黒麻」は蝦蟇の意。「緝麻線、釣田鶏」は貧乏な農家の暮らしを揶揄するものであろう。なお、「吊甜鶏」は、すでに兪本が「釣田鶏」に校訂する。○撒帳北-以下は「北」にあわせ、入声屋韻で押韻する。成化本『白兎記』全體は入聲が消失する方向にあり、その點からするならば、「撒帳」の呪文全體が他書からの借用であることを思わせる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 高橋文治, 加藤聡 他6名: "成化本『白兎記』訳注稿(1)"中国研究集刊. 32号. 52-98 (2003)
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[Publications] 高橋文治, 加藤聡 他4名: "成化本『白兎記』訳注稿(2)"中国研究集刊. 34号. (2004)