2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国桂林の岩洞内に存する唐宋人の墨書と石刻の解読及びその史的研究
Project/Area Number |
15520227
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
戸崎 哲彦 島根大学, 法文学部, 教授 (40183876)
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Keywords | 摩崖石刻 / 乳洞岩 / 興安県 / 桂林文物 / 韋敬辨 / 智城碑 / 上林県 / 李陽冰 |
Research Abstract |
平成15年度は、中国広西省壮族自治区桂林地区興安県に存在する乳洞岩内の摩崖石刻を中心にした調査とそれによる基礎的な研究を行った。その内容は:(1)明・清の『広西通志』・『興安県志』等の歴史地理書及び最近の政府刊行『桂林文物』・『桂林旅游大典』・『桂林旅游資源』等によって石刻の存在地・沿革・現存数等に関する文献研究を行い、さらに地点の特定作業を経て現地に赴き、石刻の調査及び写真撮影・測量等による研究資料を収集した。(2)当地の文物管理委員会等の調査に基づく今日の公式発表によれば、乳洞岩には文革以前に石刻29件、観音佛等造像9体があったと報告されているが、今回の文献研究によれば、その倍近く、50件以上のものが存在していた可能性が高い。(3)今日の公式発表によれば、現存石刻は唐代3件、宋代15件、民国1件、計19件と報告されているが、今回の現地調査によれば、それを上回るものが現存しており、中でも唐代のものは少なくとも4件あり、史料的価値が極めて高い。(4)また、それら公表されている時代ごとの数量にも大きな相違があり、石刻文の解読及び考証による刻年の特定に誤りがあると思われる。(5)今回の現地調査で得た石刻史料の復元と解読は約三分の二まで進んでおり、すでにその中には唐・会昌年間のものなど、未発見のものがあることがわかった。(6)乳洞岩とその石刻の位置を正確に示すために、現地での撮影・測量等に基づいて、石刻の最も集中している乳洞岩第一洞内及び洞外周辺の詳細な地図を作製した。(7)今回の調査と研究の成果の一部はすでに学会等での口頭あるいは論文で発表した。中国"広西上林唐碑唐城学術研討会"に参加、総会で「唐代石刻『韋敬辨智城碑』初探」を発表(2003.12.15)。広西師範大学歴史系で「唐代石刻研究入門」を講演(2003.12.22)。桂林摩崖石刻を史料として論文「李陽冰事跡考」を発表。
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Research Products
(2 results)