2003 Fiscal Year Annual Research Report
構文と事象構造の相関性に関するアジア諸言語を主とした対照言語学的研究
Project/Area Number |
15520241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上原 聡 東北大学, 留学生センター, 助教授 (20292352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 滋 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (40137592)
小野 尚之 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (50214185)
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Keywords | 事象構造 / 結果構文 / 対象言語学 / アジア言語 / 動詞意味論 / 言語類型 / プロトタイプ |
Research Abstract |
研究計画の初年度の平成15年度には、まず主に動詞意味論、特に結果構文に関する記述的なデータの収集作業と、そのデータにもとづいた汎言語的に適用可能な結果構文の定義の考察を行なった。具体的には、文献資料としてアジア諸言語を中心に多言語の記述文法書(reference grammar)、個別言語あるいは複数言語の結果構文に関する研究論文、さらに事構造の言語類型に関する文献を精力的に収集し、これらから関連する用例を収集する作業を開始した。事象構造に関わる諸構文の特徴や現象などを記述文法書から抜き出す作業も始め、それぞれの言語における構文間の形態・構造上の類似点、相違点を整理することにより、各言語における構文間の意味上のネットワーク、文法化の過程に関する仮説を立てるという考察の土台となる作業を始めた。 その間、備品として請求していた高速レーザープリンター、それにノートブックパソコンを購入し、データのハードコピーでの保存、母語話者との再確認、およびノートブックパソコンを携帯することによりデータの収集や記録を容易にすることなどが可能となった。 また、記述文法・データの少ない言語の場合には母語話者インフォーマントからもデータを収集するように努めた。東南アジアの言語においては特にデータ文法記述が乏しいため、12月-1月にかけて、タイ語を中心に類型論・認知言語学の研究をしている海外研究協力者Thepkanjana博士のもとへ赴き、博士と共同研究および資料収集を行った。特に次年度5月に予定されている東南アジア言語学研究集会における共同発表に向けて、受動構文、使役構文、恩恵を表す構文など多くの構文の基底となる授与構文に関して、タイ語と中国語の対照、および連動詞構造を有する他の東南アジア諸語における授与構文の歴史的な変遷・文法化の方向を諸先行研究を参考にしながら考察した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Satoshi Uehara: "Zibun reflexivization in Japanese : a Cognitive Grammar approach"Cognitive Linguistics and Non-Indo-European Languages. 389-404 (2003)
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[Publications] Satoshi Uehara: "A diachronic perspective on prototypicality : The case of Nominal Adjectives in Japanese"Cognitive Approaches to Lexical Semantics. 363-391 (2003)
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[Publications] 福島悦子, 上原聡: "日本語の丁寧体否定辞二形式に関する通時的研究:テキスト分析によりケ-ススタディー"国際文化研究論集. 11. (2004)
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[Publications] Robert Sanders, Satoshi Uehara: "A survey and investigation of epistemological expressions in Taiwanese Southern Min and Taiwanese Mandarin"国際文化研究論集. 11. (2004)
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[Publications] 長谷川玲子, 上原聡, 加藤陽子: "日本語の比較構文に関する認知言語学的分析-空間のメタファーに基づく動的認知-"日本認知言語学会第4回大会Conference Handbook 2003. 99-102 (2003)