2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520249
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
田村 建一 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90179896)
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Keywords | ルクセンブルク語 / 言語政策 / 言語の育成 |
Research Abstract |
2003年9月後半の二週間、ルクセンブルクに滞在し、教育関係者と言語学者にルクセンブルク語の標準化と学校での教育方法についてインタビュー調査を行ったほか、国立図書館や王立研究所言語学部門で資料の収集を行った。今回の主な調査目的は、一部の地域において根強く残っていると先行研究で指摘されている方言形の使用の実態について確認することであったが、東部方言の使用地域であるエシュテルナハ(ルクセンブルク市からバスで1時間)の小学校教師によると、近年、ルクセンブルク市とその周辺から安い住居を求めて多くの住民が転入してくるため、標準語(中部方言に基づく)が浸透しつつあり、地元の方言は若い世代にはもはや使用されない、とのことであった。また、転入者の多くが外国人労働者であるため、現在では小学生の半数以上を外国籍児童が占めるようになったが、彼らは家庭ではポルトガル語等の出自言語を話し、さらに幼児期の子供同士の遊びを通してルクセンブルク語(標準語)を話せるようになるものの、小学校の授業言語であるドイツ語を就学前に修得する機会がルクセンブルク人児童と比べかなり少ないため、教師が授業内容をルクセンブルク語で説明することも多い、とのことであった。 教育省は、外国人師弟のルクセンブルク社会への統合のための手段として、特に幼稚園(二年制、義務教育)におけるルクセンブルク語教育を重視しており、昨年作成された教師用ガイドブックでは理論面にも相当な頁が割かれている。また、昨年は小学校3・4年生用のルクセンブルク語読本も刊行され、全校で用いられるということであった。こうした資料の分析と新たなインタビュー調査を通して、ルクセンブルク語の標準化と使用領域の拡大に果たす学校教育の役割を探ることが今後の課題である。
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Research Products
(2 results)