2003 Fiscal Year Annual Research Report
近代ロシア語萌芽期における動詞時制・アスペクト体系の研究
Project/Area Number |
15520250
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 文昭 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (80228494)
|
Keywords | 動詞の体 / アスペクト / 時制 / 近代ロシア語 / ロシア語史 / ロシア語歴史文法 / ロシア文章語 / ロシア文法史 |
Research Abstract |
平成15年度には、以下のような、二つの作業を行ない、また、関連する論文一編を発表した。 第一には、17世紀初頭の良く知られた文献に関して、その記された言語における動詞時制・アスペクト体系に注目しつつ、再解釈する作業に取り組んだ。具体的には、『いとほまれ高きロシア帝国の新しい物語』(1610年〜1611年成立。著者不詳)や『ウリヤニヤ・オソルギナの物語』(1620年代〜30年代の成立。表題の婦人の息子の筆になるとされる)といった作品を取り上げた。 第二には、例えば、『長司祭アヴァクーム自伝』(1672年〜1675年)や、同じく17世紀後半に成立した『不幸物語』などの言葉に関してなされている、従来の伝統的な観点からの諸論考の到達点とその限界ならびに問題点の整理に取り掛かった。 近代ロシア語萌芽期(1600年前後)における時制・アスペクト体系を様々なレジスター的使用相に目配りしつつ分析し、その実像を明らかにし、19世紀の諸文法家によって「発見」され定式化されていった「体」の、近代ロシア語の萌芽期における、そのありのままの姿を見ることが、本研究課題の主要なテーマである。本年度は、この主要課題の解明の基礎作業とするべく、1600年前後の近代ロシア語萌芽期の諸状況と、社会的・文化的にオーバーラップするよく似た関係にある、11世紀の古代ロシア文語の萌芽期における過去時制の実像を実証的に追及した論文を発表した。
|
Research Products
(1 results)