2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代ロシア語萌芽期における動詞時制・アスペクト体系の研究
Project/Area Number |
15520250
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 文昭 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (80228494)
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Keywords | 動詞の体 / アスペクト / 時制 / 近代ロシア語 / ロシア語史 / ロシア語歴史文法 / ロシア文章語 / ロシア文法史 |
Research Abstract |
平成16年度には、昨年度に引き続いて、以下のような二つの研究を行なった。また、口頭発表も一回行なった。 第一には、17世紀初頭のよく知られた文献に関して、その記された言語における動詞時制・アスペクト体系に注目しつつ、再解釈する作業に取り組んだ。具体的には、『いとほまれ高きロシア帝国の新しい物語』(1610年〜1611年成立。著者不詳)や『ウリヤニヤ・オソルギナの物語』(1620年代〜30年代の成立。表題の婦人の息子の筆になるとされる)といった作品を取り上げた。その上で、この『ウリヤニヤ・オソルギナの物語』のテクストを電子化し、さらに、文脈付きの語彙索引を作成した(「正順」および「逆引き」の両方を作成した)。 第二には、上の具体的な作業に基づいて、17世紀のよく知られた文献を踏まえ、それらの記された言語における動詞時制・アスペクト体系に注目しつつ、従来の伝統的な観点からの諸論考の到達点とその限界ならびに問題点の整理を行なった。具体的には、たとえば、『長司祭アヴァクーム自伝』(1672年〜1675年)や、その他の様々なレジスター的使用相の文献に目配りしつつ分析し、その実像を明らかにするべく基礎的作業を行なった。 その結果、『ウリヤニヤ・オソルギナの物語』が記された言語における動詞時制・アスペクト体系に関して、たとえば、アオリストと未完了過去の出現比率が、同時代の同様のレジスターの文献の一般に認められている比率とは、かなり異なることなど、一定の知見を得られた。 これらの研究に関して、平成16年11月13日、同志社大学において、口頭発表を行なった。
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