2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代ロシア語萌芽期における動詞時制・アスペクト体系の研究
Project/Area Number |
15520250
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 文昭 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (80228494)
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Keywords | 動詞の体 / アスペクト / 自制 / 近代ロシア語 / ロシア語史 / ロシア語歴史文法 / ロシア文章語 / ロシア文法史 |
Research Abstract |
平成17年度には、昨年度に引き続いて、以下のような二つの方面の研究を行った。 現代の教養あるロシア人の用いているロシア標準語(ふつうの意味でのロシア語)は、モスクワの方言を母体とするものであり、その歴史はせいぜい17世紀の後半に始まると言ってよいが、それに先立つ、近代ロシア語萌芽期(1600年前後)に関わる動詞の研究、とりわけ、時制・アスペクト体系の研究は、決して十分に行なわれているとは言えない状況である。 そこで、今年度は、第一に、初年度以来の研究成果に基づいて、17世紀のよく知られた文献を踏まえ(具体的には、『いとほまれ高きロシア帝国の新しい物語』(1610年〜1611年成立。著者不詳)や『ウリヤニヤ・オソルギナの物語』(1620年代〜30年代の成立。表題の婦人の息子の筆になるとされる)といった作品を取り上げた)、それらの記された言語における動詞時制・アスペクト体系に注目しつつ、従来の伝統的な観点からの諸論考の到達点とその限界ならびに問題点の整理を引き続いて行なった。 また、第二には、近代ロシア語萌芽期における時制・アスペクト体系を様々なレジスター的使用相に目配りしつつ分析し、その実像を明らかにするために、その社会状況、プロセスともにある種の類似点が見られると考えられる、11世紀前後ころのキエフ・ルーシ(中世ロシア社会)における初めての文章語(古代ロシア文語)が誕生する際のプロセスの研究も行った。
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